シャクナゲ(石楠花)は、ツツジ科ツツジ属の常緑性低木です。原産地は、ヨーロッパ、アジア、北アメリカになります。
学名は、Rhododendron subgenus Hymenanthesで、ロードデンドロン、ロドデンドロン、西洋シャクナゲと呼ばれることがあります。
花が咲く時期は、春の4月下旬~5月中旬で、花の色は、赤色、白色、黄色、ピンクなど、品種改良によって豊富で、豪華な花は、とても美しいです。
原種のシャクナゲは、高い山に自生するため、暑さに弱いですが、品種改良されて、日本の暑い夏でも夏越しできる園芸品種が多くなりました。
11月上旬に、園芸店で、シャクナゲの小さな苗木が安く販売されていましたので、購入して育てます。
価格が安いですので、購入しやすい小さな苗木から、花が咲くまで育てます。
シャクナゲの苗木
シャクナゲの苗木のラベルで、
花の色や形を確認して、購入します。
「細葉石楠花」と記載されています。
名前の通り、葉の幅が1~2センチと長細く、シャクナゲの珍しい品種です。遠州石楠花と呼ばれることがあります。
日本固有種で、静岡県西部~愛知県東部の山地の岩場に自生します。環境省の絶滅危惧II類です。
花の色は紅紫色で、大きさは直径5センチぐらい、形は漏斗状で5つに深く裂けます。
「細葉石楠花」の樹高が、1~2メートルと大きくないですので、鉢植えで育てやすいです。
ラベルは保管していますが、よく紛失しますので、写真に撮るようにしています。
植物のラベル用のアルバム(フォルダ)を作り、保存すると便利です。
ラベルの裏に簡単に説明が記載されています。
石楠花
用 途:花壇、鉢植、コンテナガーデン、切花
花 期:4月~6月頃
草 丈:50cm~100cm
栽培のポイント
日当りと排水の良いところを好みます。定植する場合は土をくずさない様にします。水やりは土の表面が乾いたらタップリと与えて下さい。
肥 料:市販の肥料を適量与えて下さい。
シャクナゲの苗木の樹高は10センチ以下です。
購入した「細葉石楠花」は、地植えすると、樹高が50センチ~1メートルぐらいまで大きく成長します。
小さいほうが管理が簡単ですので、大きく成長しないように、小さな鉢植えで育てます。
シャクナゲの樹高は、50センチ~5メートルと、品種によって異なりますので、確認してから購入するとよいです。
直径9センチ、3号のビニールポットに植えられています。
購入したシャクナゲの苗木は、枝の先端から葉が芽吹いて、新芽の状態はよいです。小さい苗木ですので、新芽は大切になります。
11月上旬ですが、九州地方の福岡県ですので、平均気温は13.8度と、まだ寒くないですので、成長する可能性があります。
シャクナゲの葉は革質で表面にツヤがあり、葉の形は広楕円形で、枝先に車輪状に集まって互生します。葉の裏は、赤褐色のビロード状の綿毛が密生しています。
濃い緑色で、美しい葉ですので、苗木の状態はよいです。
シャクナゲの葉の長さは8~15センチ、幅は1.5~5センチぐらいで、品種によって異なります。
「細葉石楠花」の葉の長さは10~15センチと細長い葉が特徴です。購入した苗木は、大きな葉で9センチです。
葉の幅は5センチぐらい。
シャクナゲの苗木の選び方は、葉の色がよく、枝が間延びしていないものがよいです。
シャクナゲと同じツツジ科の植物
左の鉢は、ミニシャクナゲです。樹高が小さく、コンパクトな株ですが、花がたくさん咲きます。
購入したシャクナゲは、「細葉石楠花」ですので、葉の雰囲気が大きく異なります。
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左の鉢は、ハナガサシャクナゲ属のカルミアです。コンペイトウのような形のつぼみが特徴で、花びらが開くと皿形で模様がある花が美しい樹です。
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左の鉢は、ツツジです。寒さで葉が赤く紅葉しています。シャクナゲの葉にあるツヤがなく、毛が密集しています。
左の鉢は、サツキです。小さな苗木から育てています。ツツジとサツキ、シャクナゲは、花が咲く時期が同じですので、違いが分かりにくいです。
シャクナゲの小さな鉢植え
シャクナゲは、樹高が50センチ~5メートルぐらいまで成長する常緑低木です。大きく成長すると、管理が大変になりますので、小さな鉢植えで育てます。
小さな鉢植えで育てることで、管理が簡単になります。
日当たりを調節するために場所を移動したり、植え替えをしたり、小さな鉢植えは簡単にできます。
ビニールポットの状態のままで、鉢に入れると、
植え付け・植え替えをしたときの雰囲気が確認できます。
シャクナゲを小さな鉢植えで育てるために、KANEYA(兼弥産業)のスリット鉢を用意しました。
スリット鉢について、KANEYA(兼弥産業)のホームページで紹介してあります。
スリット鉢は、大地での根張りを鉢の中でも実現するために設計デザインされた理想的な植木鉢です。根のサークリング現象を防止するので、用土の90%以上が有効利用することができ、植物の生育に大きな効果があります。果樹・野菜・鑑賞用などあらゆる園芸に最適です。
MADE IN JAPAN、日本製ですので、耐久性が期待できます。
スリット鉢のサイズは3.5号(直径10.5センチ)、CSM-105になります。
スリット鉢の大きな特徴は、八角形の形状と側面から底にスリットが設置されていることです。
ホームセンターや園芸店で販売され、価格が安いですので、おすすめの鉢です。
根詰りすることがなく、シャクナゲを元気に育てることができます。植え替えも2~3年に1回で大丈夫になります。
八角形の頂点に、側面から底にスリットが8つあります。
スリットにより、根が光を浴びて伸びなくなることで、底で根を巻くサークリング現象を防ぎます。
八角形の形状が特徴のスリット鉢ですが、上部は普通の鉢のように円形になります。
段差まで用土を入れますと、ウォータースペースができますので、水遣りが簡単になります。
植物の成長によいスリット鉢を使うことで、シャクナゲを小さな鉢植えで育てることができます。
日差しが強く暑い夏は半日陰、霜が降りる寒い冬は軒下などに移動させることで、最適な環境で育てることができます。
準備した
スリット鉢の直径10.5センチと3.5号のサイズですが、八角形に部分は、一回り小さくなりますので、
普通の3.5号の鉢より少し小さい容量になります。
鉢の高さは9センチぐらい。大きくありませんので、移動が簡単になります。
スリット鉢は価格が安いので、いろいろな鉢のサイズを購入してあります。左から3号(直径9センチ)、3.5号(直径10.5センチ)、4号(直径12センチ)。
苗木を購入するときは、鉢のサイズ選びで悩む必要がありません。
購入したシャクナゲの苗木は、直径9センチ、3号のビニールポットですので、一回り大きな3.5号(直径10.5センチ)が適した鉢のサイズです。
大きな鉢に植え付けをすれば、植え替えする必要がなくなりますが、小さな苗木に対して鉢が大きいことで、鉢の土の乾きが悪く、底のほうが常に湿った状態になりますので、根腐れしやすくなります。
スリット鉢のデメリットは、デザイン性がないことです。価格が安く、生産者向けの商品ですので、仕方がありません。
100均の4号の陶器の鉢が、鉢カバーとしてピッタリのサイズです。花が美しい時期は、鉢カバーに入れて飾り、普段はスリット鉢のまま育てます。
シャクナゲの立派な鉢植えになる予定です。
シャクナゲの用土
シャクナゲは、水はけ、水もちがよい酸性の用土を好みます。
ホームセンターや園芸店で販売されている山野草の培養土と赤玉土の小粒を1:1の同じ量で配合した用土で育てることができます。
用土を作る場合は、赤玉土の小粒、ピートモス、鹿沼土の小粒、バーミキュライトを4:3:2:1の割合で混ぜた用土が適しています。
シャクナゲは、いろいろな用土を配合するように説明していることがありますが、簡単な用土がありますので、紹介します。
鹿沼土の小粒と腐葉土を6:4の割合で、混ぜた用土を使います。
育てる環境や水遣りなどの管理によって、適した用土は異なります。いろいろな用土を試しながら育てることも、楽しみの一つです。
鹿沼土の小粒と
腐葉土が均一になるように混ぜます。
スリット鉢は、スリットが多く設置され、水はけ(排水性)がよいですので、
鉢底石の必要がありませんが、スリットから
用土が流れ出ることを防ぐために、
鉢底石を敷きました。
シャクナゲは、水はけがよい状態を好みますので、鉢底石を敷くことをおすすめします。
鉢底石の上に用土を入れます。一度、土入れに入れると、用土がよく混ざりますのでおすすめです。
園芸用品のスコップ(ショベル)は、実用的ではありません。土入れのほうが使いやすいです。土入れは100均で大と小の2個セットで販売されています。
鉢の高さの底から3分目まで用土を入れて、シャクナゲの鉢の準備ができました。
植え付け・
植え替えは、
最初に鉢の準備をします。
土の中にある根は乾燥しやすいですので、短時間で植え付け・植え替えをする必要があります。
シャクナゲの植え付け・植え替え
シャクナゲの苗木を、鉢に植え付け・植え替えをします。
必要な道具は、ハサミ、ピンセット、竹串です。
鉢受け皿の中で作業すると、周りを土で汚すことがなく、後片付けが簡単になります。
鉢受け皿は、100均でも販売されていますので、大きなサイズを植え付け・植え替え用に購入するとよいです。
シャクナゲの植え付け・植え替えに適した時期は、春の3月~4月と秋の9月~10月になります。
11月上旬ですが、九州地方の福岡県ですので、まだ暖かい日が多く、植え付け・植え替えの時期ではないですが、根の状態を確認するために、植え付け・植え替えをします。
ビニールポットから取り出す
最初に、ビニールポットの底を確認します。
底の穴から根がたくさん出ていますと、ポットから取り出すことができません。
無理に取り出しますと、根が切れますので、穴から伸びた根はハサミで切ります。
シャクナゲの苗木を鉢受け皿の中に横向きに置きます。
ビニールポットの底の角を指で押すと、簡単に取り出すことができます。
手で引っ張り上向きに、ポットから取り出すと、
根鉢が崩れて落としたり、土がこぼれたりしますので、置いて作業すると失敗なくできます。
シャクナゲの苗木をポットから取り出すことができました。
シャクナゲの根鉢
シャクナゲの苗木をポットから取り出すことができ、根鉢の状態になりました。
根鉢は、苗木を鉢やポットから取り出して、根と土が固まって見えている状態のことです。
根鉢の状態は、根がたくさんあります。ツツジ科の植物は細かい根が密になり、根詰りしやすいです。
茶色の根は古く、黒い根は腐敗しています。新しい白い根が多くなく、少し心配です。
根鉢の底は、黒くなっていますので、古い根が腐敗していますので、取り除く必要があります。
根鉢の底を三分の一ぐらいを崩して、一回り大きな鉢に植え付け・植え替えすることが基本です。
根鉢を崩して、植え付け・植え替えの準備
根鉢の表面の土は、水遣りで土の粒が崩れると、水通りと通気性が悪くなります。
植え付け・植え替えのときに、表面の土を崩すと状態がよくなり、見た目も改善します。
育てているときに、表面の土を崩すことを「中耕(ちゅうこう)」と言います。雑草を取り除き、水通りと通気性が改善しますので、おすすめです。
竹串を使って、根鉢の表面の土を崩して、根元が見えるまで、根鉢の表面の土を取り除きました。
公園などにある大きな樹は、根の一部が地表に見える状態です。根元の位置が地表になると、樹の成長がよくなります。
苗木は、倒れることを防ぐために深植えされていることが多く、シャクナゲの苗木は、根元が2センチぐらい土の中に埋まっていました。
根も呼吸をしていますので、水はけ(排水性)と通気性が大切です。
鉢に植え付け・植え替えをするときに、根元の位置を地表にしてあげましょう。
幹の節から伸びている
根がありますので、
ハサミで切ります。
根元がキレイになりました。
幹が少し曲がっていますので、よい樹形になりそうで。
根元が見えるまで、根鉢の表面の土を崩すと、根鉢の高さが小さくなりました。
根鉢の底は、軽く崩すだけにします。
根鉢の底は、
根が固まった状態で、
植え付け・植え替えをすると、
根の成長がよくありませんので、腐敗している黒い
根をキレイに取り除きます。
根鉢の底を竹串を使って崩します。底で密集している黒い根をほぐします。
底の黒い
根を取り除きました。
根鉢の中心部分は、根が少ないです。
根鉢をたくさん崩すと、枯れることが心配になりますが、植え付け・植え替え後の管理をしっかりすれば、大丈夫です。
枯れる原因は、根詰りによる根腐れが多いですので、不要な根は取り除きます。
根鉢を崩して、鉢に
植え付け・
植え替えをする準備ができました。
鉢に植え付け・植え替えをする
根鉢を崩した
シャクナゲを
用土を入れて準備した鉢に入れます。
根元の位置を確認します。
スリット鉢の段差まで用土を入れますので、根元の位置が段差になるように調節します。
高い場合は、3分目まで入れた用土を減らします。低い場合は用土を増やします。少し低いですので、用土を足しました。
根鉢の中心部分を竹串で挿すと、水通りや通気性がよくなります。鉢の中に入れていますので、
根鉢が崩れる心配がありません。
根鉢と鉢に隙間がありますので、用土を入れます。
根鉢の土が細かく、保水性が高いですので、腐葉土を入れないで、鹿沼土の小粒だけの用土でも大丈夫になります。
根の間に
用土が隙間なく入るように
竹串で突きます。
鹿沼土は粒状ですので、隙間ができやすくなりますので、注意が必要です。
シャクナゲは、土の表面近くに細い根が張ります。暑さが厳しい夏は、腐葉土などで根元をマルチングをすると、土の乾燥と温度の上昇を防ぎ、根を傷めることがありません。
マルチングをするために、用土を少なくして、植え付け・植え替えをするとよいです。
シャクナゲの小さな鉢植えが完成しました。
小さな鉢植えですので、いろいろな場所に飾ることができ、管理も簡単です。
シャクナゲの管理
シャクナゲの苗木を鉢に植え付け・植え替えした後は、すぐに水遣りをします。
鉢の底から透明な水が流れるまで、たっぷり水を与えます。
シャクナゲの水遣りは、鉢の土が乾いたら、たっぷり水を与えることが基本です。
根が細く、極端な乾燥に弱いため、水切れに注意が必要です。
乾き具合は、鉢を手に持ち重さで判断するとよいです。小さな鉢植えは簡単にできます。
春と秋は1日1回、暑い夏は朝と夕方の1日2回、寒い冬は2~3日に1回ぐらいが目安になります。
寒さが厳しい真冬は、暖かい日の午前中に水遣りをします。午後に水遣りをすると鉢の中に残った水が夜間に凍ることがあります。
花が咲く期間は、水切れに注意が必要です。水切れすると花が傷みます。
寒い冬でも、乾いた風で1日で乾いたり、小春日和で暖かい日があったりしますので、1日1回は、乾き具合を確認するようにしましょう。
植え付け・植え替えした後の1週間ぐらいは、直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。
葉が萎れるなどの異常がなければ、少しずつ日の当たる場所に移動させます。
シャクナゲは、日当たり・風通しの良い場所で管理します。
暑い夏は、直射日光が当たらない半日陰で、風通しのよい場所で管理します。
耐寒性は強いですが、南向きの日当たりのよい、冷たい風が当たらない場所で、管理して下さい。
支柱で支える
植え付け・
植え替えをした後は、
根が張っていませんので、
風が強く吹くと倒れることがあります。
シャクナゲの苗木は、
深植えされていましたので、
樹高が少し大きくなりました。
樹高が10センチを超えるぐらいですが、長い葉のがたくさんありますので、風が強く吹くと、倒れる可能性があります。
支柱を使って、幹を支えて、倒れることを防ぎます。
小さな鉢植えですので、竹串を支柱として使うことができます。
幹を挟むように、2本の
竹串を鉢の底まで深く挿します。
寒い冬は、風が強く吹く日が多いですので、樹が倒れないように対策が必要です。
シャクナゲの育て方のポイント
- 日当たり・風通しがよい場所で育てる。夏は直射日光が当たらない半日陰。
- 水はけ、水もちのよい、酸性の用土を好む。市販の山野草の培養土に、赤玉土の小粒を同量配合。
- 水遣りは鉢の土が乾いたら、たっぷり水を与えます。
- 肥料は花後のお礼肥え、秋の10月頃と2月頃に寒肥として緩効性化成肥料を置き肥。
- 植え付け・植え替えは、3月~4月と9月~10月頃。
シャクナゲの育て方は、基本を大切にすれば、簡単です。水切れだけに注意すれば枯れることはありません。
鉢植えは、2~3年ぐらいに1回、植え替えをします。水遣りのときに水が抜けなくなったり、葉の色が悪くなったりしますので、分かりやすいです。
花が終わったら、すぐに花柄摘みをします。種を作ろうとすると株が弱り、新芽が伸びが悪くなります。
シャクナゲの今後
鉢カバーに入れると、立派な鉢植えになります。
11月8日に、シャクナゲの苗木を鉢に植え付け・植え替えしました。
九州地方の福岡県の平野部で育てています。温暖な気候ですので、冬越しは保護の必要がなく簡単ですが、夏はとても暑く、水切れに注意が必要です。
シャクナゲの今後の様子はこの記事を更新します。
目標は、美しい花を咲かせることです。小さな苗木から花が咲くまで、どのくらいの期間が必要か?確認します。
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