秋に、香りがよい、橙黄色の小さな花がたくさん咲くキンモクセイ。
キンモクセイを鉢植えで育てています。コンパクトな株で、小さな鉢植えを目指していますので、剪定をする必要があります。
剪定した枝を挿し穂に使い、キンモクセイの挿し木にチャレンジします。
キンモクセイは、発根率がよくなく、挿し木は難しいとされていますので、本当に難しいか?確認します。
キンモクセイの鉢植え
キンモクセイを鉢植えで育てています。
苗木を植え付け・植え替えをする様子を詳しく記事に書きました。
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キンモクセイの鉢植えの樹高は70センチ以上あります。
樹高が大きくならないように、「芯止め」をして、枝を増やします。
「芯止め」は、樹の一番高いところにある枝を切り、上に伸びる生長を止めることです。
一番高いところの枝をハサミで切り、
剪定しました。
剪定した枝を捨てることは、もったいないですので、挿し穂にして、挿し木をします。
長く伸びた枝の先端を芯止めしました。
キンモクセイの挿し木の時期
キンモクセイの挿し木に適した時期は4~6月です。
キンモクセイは、発根するまで時間が掛かりますので、梅雨入り前がおすすめです。
前年に伸びた枝を使う挿し木は、「古枝挿し」と呼ばれます。「春挿し」と呼ぶこともあります。
新しく芽吹いて伸びた枝を使う挿し木は、「緑枝挿し」になります。
「古枝挿し」と「緑枝挿し」、それぞれにメリットとデメリットがあり、樹種によって成功率が異なります。
挿し木に適した時期は、その植物がよく成長する時期の少し前です。挿し穂の発根がよく、剪定で切った枝の回復も早くなります。
キンモクセイの挿し穂の水揚げ
キンモクセイを剪定した枝を水につけて水揚げをします。
水揚げする時間は、30分から2時間ぐらいが基本です。
水揚げをする時間は、一晩などといろいろな情報がありますが、2時間ぐらいで十分です。
葉と枝がたっぷり水分を含むことで、萎れて枯れることを防ぎます。葉と枝が水に漬かるように、水揚げは大きなバケツが適しています。
キンモクセイの挿し穂を作る
挿し穂の下の方は、土に挿しますので、葉を取り除きます。
手で取り除くと、樹皮が剥がれることがありますので、葉の付け根をハサミで切るとよいです。
先端の
葉を2~4枚残しました。
葉をハサミを使って半分に切ります。
大きな葉は2/3ぐらいを切るとよいです。
葉から蒸散する水の量を減らす効果があります。植物は、葉で蒸散することで、根から水を吸収します。
根から水を吸収することができませんので、蒸散する量を減らします。
剪定した枝をすべて挿し穂にしました。
挿し木の成功率は、樹種や管理によって大きく変化します。挿し穂の数は、多いほうがよいです。
キンモクセイの挿し穂は、9本あります。
すべての挿し穂が、発根することは難しいですが、2~3本成功することを目標にします。
大きな挿し穂の長さは、8センチぐらいです。
小さい
挿し穂は4センチぐらいになります。
根元が前年の枝で、茶色の挿し穂が4本あります。「古枝挿し」になります。
「緑枝挿し」と「古枝挿し」のどちらのほうが成功率が高いか?確認します。
挿し穂の切り口
挿し穂の一番下の部分は、水を吸収しますので、枯れることなく、発根するために、大切になります。
剪定したときにハサミで切っていますので、よく切れる刃物でキレイな切り口を作ります。
よく切れる刃物は、カッターやカミソリがおすすめです。
新品の刃を使うことで、切れ味がよく、清潔な刃で切ることができます。
切り口を作るときは、水の中で切る水切りをします。
水が通る管である道管に、空気が入ることを防ぐためです。道管に空気が入ると、水の通りが悪くなります。
花屋さんなどでも、切り花を作るときに水切りすることが基本ですので、実績のある方法です。
切り口を斜めにすることで、断面積を大きくして、水を吸収しやすくします。
太い枝は、反対側も斜めに切り、クサビ形の切り口にするとよいです。
キンモクセイの
挿し穂が完成しました。
発根促進剤ルートンを塗る
植物の発根を助ける発根促進剤ルートン。発根する可能性が高くなります。
ホームセンターなどで購入できます。価格が安いですので、使うことをおすすめします。
発根促進剤ルートンは、粉末ですので、鉢受け皿などの容器に出して使います。
使い方は、水で溶いてルートン液を作り、挿し穂を漬けたり、少量の水でペースト状にして切り口に塗ったりします。
粉末のまま使う簡単な方法を紹介します。
挿し穂は
水揚げで
水に濡れていますので、粉末の
発根促進剤ルートンが簡単に付着します。
挿し穂の
切り口を、粉末の
発根促進剤ルートンの中に入れるだけで、簡単に付着できました。
発根促進剤ルートンを
切り口に付着させた9本の
キンモクセイの
挿し穂ができました。
キンモクセイの挿し床の準備
挿し木で用土を入れた容器のことを挿し床と呼びます。
キンモクセイの挿し床は、プラスチック製の鉢を使います。
挿し穂の長さの半分から2/3ぐらいを土の中に埋めますので、挿し穂の長さから鉢のサイズを決めます。
鉢底石を薄く敷きます。
暑い夏は、水切れしないように、腰水で管理しますので、鉢底石を厚く敷くと用土が水に漬かりません。
発根した後は、そのままの状態で、翌シーズンの春に
鉢上げするまで育てる予定ですので、水はけがよくなるように
鉢底石を敷きます。
キンモクセイの挿し木の用土は、赤玉土の極小粒(細粒)を使います。
粒が小さいほうが保水性がよく、挿し穂と接する面積が多いですので、乾きにくいです。
用土に水を与えて、十分に湿らせます。
キンモクセイの挿し床が準備できました。
キンモクセイの挿し穂を挿す
挿し木は、挿し穂を挿し床に挿しますが、簡単な方法があります。
鉢の高さの3分目まで
用土を入れて準備した
挿し床に、
キンモクセイの
挿し穂を並べます。
長い挿し穂は、斜めに並べるとよいです。
斜めに挿すと、風が吹いても動きませんので、おすすめです。
並べた
挿し穂の上から、
用土である赤玉土の極小粒(細粒)を入れます。
用土を鉢の高さの半分ぐらいまで入れて、
挿し穂の位置を修正します。
キンモクセイの挿し木が完成しました。
挿し床に割りばしなどの棒で穴を開けて、1本ずつ挿すことは大変です。
挿し穂が長いと、深い穴を作る必要がありますので、挿すより用土を入れるほうが簡単になります。
挿し穂の数が多いときも、並べて用土を入れるほうが簡単になります。
キンモクセイの挿し木の管理
挿し木した後は、すぐに水遣りをします。たっぷり水を与えます。
用土が水を含むことで、挿し穂がしっかり固定されます。
キンモクセイの挿し木は、毎日、水遣りをして、用土が湿った状態を維持します。
水遣りができないときは、鉢受け皿に水を入れて、腰水で管理するとよいです。
霧吹きで葉に水を与える葉水は、根がなくなり水の吸収が少なくなっていますので、葉が萎れることを防ぐ効果が高いです。
キンモクセイの
挿し木は、直射日光が当たらない
明るい日陰で管理します。
風が強く吹くと挿し穂が動きますので、風が当たらない場所が適しています。
キンモクセイの挿し木は、発根するまで時間が掛かりますので、葉が枯れないように、ビニール袋を使って「密閉挿し」にします。
ビニール袋やペットボトルを使った「密閉挿し」は、葉が枯れること防ぎますが、カビが発生しやすいデメリットがあります。
用土は、雑菌が少なくなるように新品を使い、枯れた葉はカビが発生する原因になりますので、すぐに取り除く必要があります。
キンモクセイの挿し木に、ビニール袋をかぶせます。
ビニール袋が風で飛ばないように、ビニールタイで固定します。
水遣りができませんので、水を入れた鉢受け皿に入れて、腰水にするとよいです。
ビニール袋をかぶせやすいように、縦に長い鉢を使いました。
挿し穂が鉢の高さより上に出ていませんので、ビニール袋をかぶせやすくなります。
キンモクセイの挿し木のポイント
- 30分から2時間ぐらい水につけて水揚げ
- 水の中で切る水切りで切り口を斜めに切る
- 発根促進剤ルートンを塗る
- 挿し床の用土は赤玉土の極小粒(細粒)
- 乾かないように腰水で管理
キンモクセイの挿し木のポイントは5つだけです。難しいことはありませんので、気軽にチャレンジできます。
キンモクセイの挿し木の今後
今後のキンモクセイの挿し木の様子は、この記事を更新します。
発根の様子、暑い夏の管理、涼しい秋に成長、冬越し、翌シーズンの春に鉢上げするまでを記録します。
5月29日に、キンモクセイの挿し木をしました。
九州地方の福岡県の平野部で栽培しています。6月上旬に梅雨入りして、梅雨明けは、例年並みなら7月下旬になりますので、1ヶ月間ぐらいあります。
梅雨の時期は、雨の日が多く、挿し木の管理が簡単です。
梅雨が明けると、本格的な夏になり、気温が上昇します。発根に適した温度を超えますので、梅雨の間に発根できるか?が大きなポイントになります。
キンモクセイの挿し木の発根
10月15日、撮影。
キンモクセイの
挿し木をしてから、4ヶ月半が経過。
10日に1回ぐらいビニール袋を取り外して、水遣りをして、枯れた葉を取り除いて、発根できるように管理しました。
9本の
挿し穂を
挿し木しましたが、
葉が残っている
挿し穂は4本です。
葉が残っている挿し穂は、発根している可能性が高いです。
ポットの底を確認しましたが、根が出ていませんので、発根できているか?少し心配です。
挿し床のポットから取り出す
必要な道具は、ピンセットです。
鉢受け皿の中で作業すると、周りを土で汚すことがなく、後片付けが簡単になります。
鉢受け皿は、100均でも販売されていますので、大きなサイズを植え付け・植え替え用に購入するとよいです。
キンモクセイの挿し木を鉢受け皿の中に横向きに置きます。
発根した根を傷つけないように、ピンセットで慎重に用土を崩します。
キンモクセイの根が見えます。
根が少ないですので、切らないように注意して、挿し木を取り出します。
キンモクセイの挿し木をポットから取り出すことができました。
キンモクセイの発根
キンモクセイの挿し木は、3本の挿し穂が発根して、根が伸びています。
発根していますので、キンモクセイの挿し木は成功です。
9本の挿し穂を挿し木して、3本が発根しましたので、成功率は33.3%と高くないですが、株を増やすことができました。
9本の
挿し穂で、完全に枯れている
挿し穂が1本、
葉がなくなっていますが緑色が残っている
挿し穂が4本、小さな
葉がついていますが
発根していない
挿し穂が1本になります。
小さな
挿し穂が
発根していますので、
挿し穂の大きさは、
発根にあまり影響ないようです。
挿し穂の
発根している場所を確認すると、
切り口でなく、
節から発根しています。
根元が前年の枝で、茶色の
挿し穂である「古枝挿し」が
発根しています。
「古枝挿し」は4本の挿し穂を挿し木して、1本が発根しましたので、成功率は25%。
「緑枝挿し」は5本の挿し穂を挿し木して、2本が発根しましたので、成功率は40%の結果になりました。
挿し木をした時期が、5月下旬と「緑枝挿し」の時期ですので、成功率が高くなったと考えられます。
キンモクセイの挿し木の鉢上げ
キンモクセイの
挿し木を
鉢上げする鉢は、ビニールポットを使います。価格が安いことが大きなメリットです。
ビニールポットのサイズは、2号(直径6センチ)になります。
鉢を置くスペースに限りがありますので、小さなビニールポットで育てます。
ビニールポットは、底に穴があり、
用土が流れ出ますので、鉢底ネットを敷きます。
ビニールポットの底から3分目ぐらいまで用土を入れます。
キンモクセイは、水はけ、水もちがよい用土が適しています。ホームセンターや園芸店で販売されている普通の培養土で育てることができます。
用土を作る場合は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜるとよいです。
再利用している用土ですので、汚れていますが、問題なく育てることができます。
発根した
キンモクセイの
挿し木を用意したビニールポットに入れます。
土入れを使って、
用土を足します。
用土に隙間ができないように、
竹串で突きます。
ビニールポットの高さの底から8分目ぐらいまで用土を入れました。
発根した
キンモクセイの3本の
挿し木をビニールポットに
鉢上げしました。
発根していなかった挿し穂は、枯れていない5本を1つのビニールポットに入れました。可能性は低いですが、発根するかもしれません。
キンモクセイを鉢上げした後は、すぐに水遣りをします。鉢の底から透明な水が流れるまで、たっぷり水を与えます。
鉢上げした後の1週間ぐらいは、直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。
葉が萎れるなどの異常がなければ、少しずつ日の当たる場所に移動させます。キンモクセイは、日当たり・風通しのよい場所で管理します。
10月15日と、九州地方の福岡県も、朝晩は寒さを感じるようになりました。
キンモクセイの挿し木が成長して、花が咲くまでの様子を記録します。
キンモクセイの挿し木の1年後
9月29日、撮影。
キンモクセイの
挿し木を
鉢上げしてから1年間が経過しました。
九州地方の福岡県は温暖な気候ですので、冬の寒さは大丈夫でしたが、夏の厳しい暑さで発根した3つの株のうち1つが水切れで枯れて、残念です。
生き残ったキンモクセイの2つの株は、1年前より成長していることが分かります。
右の大きいほうの
キンモクセイは、樹高が9センチぐらい。
左の小さいほうの
キンモクセイは、樹高が7センチ。2号(直径6センチ)の小さなビニールポットですので、大きく成長していません。
キンモクセイのミニ盆栽を作ることが目標ですので、樹高が小さく、枝が増えるように育てます。
キンモクセイの肥料
キンモクセイは、
2月頃にリン酸やカリを多く含む肥料である骨粉や草木灰、鶏糞などを与えます。
鉢植えは用土が少なくなりますので、香りのよい美しい花を楽しむためには、地植えよりも多くの肥料が必要です。
キンモクセイの鉢植えには2月頃だけでなく、5月頃と花が咲く少し前の9月頃に、リン酸を多く含む肥料を与えると、花付きがよくなります。
N5、P8、K5の化成肥料を与えて、小さな樹ですが、
キンモクセイの香りのよい
花が咲くことを期待します。
マドラースプーンに1杯。3グラムぐらいを与えました。
100均のマドラースプーンですが、ステンレス製ですので、屋外に置いてもサビにくく、1杯で約3グラムぐらいと小さいですので、使いやすいです。
2号(直径6センチ)のビニールポットに、1杯の
肥料で適量になります。
根元から離れたところに、
肥料を与えます。土の上に
肥料を撒く
置き肥は、
水遣りをすると少しずつ
肥料が溶けますので、
肥料の影響が少ないです。
挿し木から
鉢上げをして1年間が経過した小さな
キンモクセイですが、
花が咲くことを期待します。
九州地方の福岡県で育てていますので、
キンモクセイの
花が咲く時期は、10月中旬ぐらいです。
小さな樹でも花が咲くことができたら、キレイな鉢に植え替えをして、キンモクセイのミニ盆栽を作る予定です。
白い花が咲く銀木犀(ギンモクセイ)の挿し木の記事です。参考にして下さい。
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