ノリウツギ(糊空木)は、アジサイ科アジサイ属の落葉性低木です。日本や中国の中部から南部が原産地になります。
学名は、Hydrangea paniculataで、サビタやノリノキと呼ばれることがあります。
花が咲く時期は、7月~9月中旬ですので、普通のアジサイと時期が異なり、花が少ない夏に咲いてくれる樹です。
花は円錐状になりますので、ボールのように丸いアジサイと見分けがつきます。
たくさんの小さな花があるように見えますが、ガク(萼)が発達した装飾花と呼ばれるもので、中心にある小さなつぼみのように見える部分が本当の花で、真花になります。
5月のゴールデンウィークに、よく利用する激安の園芸店で、ノリウツギの園芸品種であるミナヅキ(水無月)の苗木が販売されていましたので、購入しました。
ミナヅキは、花がキレイな円錐花序となる品種で、ピラミッドアジサイとして販売されることが多いです。
学名は、Hydrangea paniculata ‘Grandiflora’になります。購入したミナヅキは、葉に美しい斑がある斑入りです。
ノリウツギの苗木
ノリウツギの苗木のラベルで、
花の色や形を確認して購入しましょう。
キレイなラベルでなく、手作りのラベルになります。
ラベルは保管していますが、よく紛失しますので、写真に撮るようにしています。
植物のラベル用のアルバム(フォルダ)を作り、保存すると便利です。
ノリウツギの苗木の樹高は、13センチぐらい。
地植え(庭植え)して大きく成長すると、2~3メートルになります。
直径10.5センチ、3.5号のプラスチック製のポットに植えられています。
左の鉢は、普通のアジサイです。
5月上旬ですので、
つぼみがあります。
ノリウツギの葉が斑入りですので、分かりにくいですが、葉は、よく似ています。
アジサイの育て方を詳しく書いた記事がありますので、参考にして下さい。
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左の鉢は、ヤマアジサイです。葉の大きさが小さく、
ノリウツギと似ていません。
ヤマアジサイを挿し木して増やしています。
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ヤマアジサイ(山紫陽花)の挿し木を成功させるためのポイント:剪定した枝を挿し穂に使う
ノリウツギの小さな鉢植え
ノリウツギは、樹高が2~3メートルぐらいまで成長する落葉性低木です。大きく成長すると、管理が大変になりますので、小さな鉢植えで育てます。
小さな鉢植えで育てることで、管理が簡単になります。
日当たりを調節するために場所を移動したり、植え替えをしたり、小さな鉢植えは簡単にできます。
ノリウツギを小さな鉢植えで育てるために、KANEYA(兼弥産業)のスリット鉢を用意しました。
スリット鉢について、KANEYA(兼弥産業)のホームページで紹介してあります。
スリット鉢は、大地での根張りを鉢の中でも実現するために設計デザインされた理想的な植木鉢です。根のサークリング現象を防止するので、用土の90%以上が有効利用することができ、植物の生育に大きな効果があります。果樹・野菜・鑑賞用などあらゆる園芸に最適です。
MADE IN JAPAN、日本製ですので、耐久性が期待できます。
根詰りすることがなく、ノリウツギを元気に育てることができます。植え替えも2~3年に1回で大丈夫になります。
スリット鉢のサイズは3.5号(直径10.5センチ)、CSM-105になります。
スリット鉢の大きな特徴は、八角形の形状と側面から底にスリットが設置されていることです。
ホームセンターや園芸店で販売され、価格が安いですので、おすすめの鉢です。
八角形の頂点に、側面から底にスリットが8つあります。
スリットにより、根が光を浴びて伸びなくなることで、底で根を巻くサークリング現象を防ぎます。
八角形の形状が特徴のスリット鉢ですが、上部は普通の鉢のように円形になります。
段差まで用土を入れますと、ウォータースペースができますので、水遣りが簡単になります。
植物の成長によいスリット鉢を使うことで、ノリウツギを小さな鉢植えで育てることができます。
日差しが強く暑い夏は半日陰、霜が降りる寒い冬は軒下などに移動させることで、最適な環境で育てることができます。
準備したスリット鉢の直径10.5センチと3.5号のサイズですが、八角形に部分は、一回り小さくなりますので、普通の3.5号の鉢より少し小さい容量になります。
鉢の高さは9センチぐらい。大きくありませんので、移動が簡単になります。
スリット鉢は価格が安いので、いろいろな鉢のサイズを購入してあります。左は3.5号(直径70.5センチ)、右は4号(直径12センチ)。
苗木を購入するときは、鉢のサイズ選びで悩む必要がありません。
スリット鉢のデメリットは、デザイン性がないことです。価格が安く、生産者向けの商品ですので、仕方がありません。
100均の陶器の鉢が、サイズが4号で、鉢カバーとしてピッタリです。花が咲いている時期は、鉢カバーに入れて飾り、普段はスリット鉢のまま育てます。
苗木の樹高と鉢のサイズのバランスは問題ないようです。
ノリウツギの用土
ノリウツギは、水はけよい用土を好みます。土質は選びません。
ホームセンターや園芸店で販売されている普通の培養土で育てることができます。
作る場合は、赤玉土の小粒と腐葉土を7:3の割合で混ぜた基本の用土が適しています。
赤玉土と
腐葉土が均一になるように混ぜます。
スリット鉢は、スリットが多く設置され、水はけがよいですので、鉢底石の必要がありませんが、スリットから用土が流れ出ることを防ぐために、鉢底石を敷きました。
鉢底石の上に用土を入れます。一度、土入れに入れると、用土がよく混ざりますのでおすすめです。
園芸用品のスコップ(ショベル)は、実用的ではありません。土入れのほうが使いやすいです。土入れは100均で大と小の2個セットで販売されています。
鉢の高さの底から3分目ぐらいまで用土を入れました。植え付け・植え替えのときに、株元の高さを確認して調整します。
植え付け・植え替えは、根が乾かないように、手際よく作業したいですので、最初に鉢の準備をします。
ノリウツギの肥料
ノリウツギは、3月頃に、緩効性化成肥料を置き肥で与えます。
暖かくなった春の芽吹きと花芽を作るための肥料になります。
購入した苗木は、肥料を与えていないので、植え付け・植え替えをするときに、緩効性化成肥料を元肥として与えることにしました。
元肥は、苗木を植え付け・植え替えをするときに、用土に施す肥料のことです。
N(チッソ)、P(リン酸)、K(カリ)が5:8:5と、P(リン酸)が多めの花が咲く植物用の肥料です。
5:8:5で合計18、合計の数字が30未満ですので、低度化成肥料になります。30以上は高度化成肥料です。
強くありませんので、気軽に使うことができる肥料になります。
数字が大きいほうが得した気分になりますが、肥料に弱い植物がありますので、注意が必要です。
肥料は説明書をよく読み、適量を与えましょう。
100均のマドラースプーンに1杯で3グラム、少量の肥料を元肥として用土に混ぜます。
肥料の説明書の1株当たりの元肥の8グラムより少ないです。
肥料は少なく与えて、葉が黄色になったり、成長が悪かったりして、足りない場合は追肥します。
用土の上に肥料を入れました。
根に肥料が直接、触れるとよくないですので、ピンセットを使って、軽く混ぜます。
肥料と用土を軽く混ぜて、元肥を施しました。
ノリウツギの植え付け・植え替え
ノリウツギの苗木を、鉢に植え付け・植え替えをします。
必要な道具は、ハサミ、ピンセット、竹串、食器のナイフです。
鉢受け皿の中で作業すると、周りを土で汚すことがなく、後片付けが簡単になります。
鉢受け皿は、100均でも販売されていますので、大きなサイズを植え付け・植え替え用に購入するとよいです。
ノリウツギの植え付け・植え替えに適した時期は、落葉している11月~3月になります。
5月上旬ですので、植え付け・植え替えの時期ではないですが、根の状態を確認するために、植え付け・植え替えをします。
ポットから取り出す
最初に、ポットの底を確認します。
底の穴から根がたくさん出ていますと、ポットから取り出すことができません。
無理に取り出しますと、根が切れますので、穴から伸びた根はハサミで切ります。
ポットと土の隙間にナイフを入れ、そのまま1周させます。
根詰まりしていますと、ナイフを1周させることができませんので、一度抜き、別の場所に入れます。
園芸用の専用の道具である「植え替えナイフ」「スパチュラ」がありますが、食器のナイフで代用できます。
ステンレス製ですので、さびにくく、強度があります。
ノリウツギの苗木を
鉢受け皿の中に横向きに置きます。
ノリウツギの苗木をポットから取り出すことができました。
ノリウツギの根鉢
ノリウツギの苗木をビニールポットから取り出すことができ、根鉢の状態になりました。
根鉢は、苗を鉢やビニールポットから取り出して、根と土が固まって見えている状態のことです。
ノリウツギの根鉢の状態を確認すると、根の量は少ないです。
白い根は新しく、茶色の根は古く、黒い根は腐敗しています。
粒がなく、水はけがよくない土ですので、植え付け・植え替えをして、よかったです。
根鉢の底を三分の一ぐらいを崩して、一回り大きな鉢に植え付け・植え替えすることが基本です。
根鉢を崩して、植え付け・植え替えの準備
根鉢の表面の土は、水遣りで土の粒が崩れると、水通りと通気性が悪くなります。
植え付け・植え替えのときに、表面の土を崩すと状態がよくなり、見た目も改善します。
育てているときに、表面の土を崩すことを「中耕(ちゅうこう)」と言います。雑草を取り除き、水通りと通気性が改善しますので、おすすめです。
竹串を使って、幹の周りを丁寧に、根元が見えるまで、根鉢の表面の土を取り除きました。
公園などにある大きな樹は、根の一部が地表に見える状態です。根元の位置が地表になると、樹の成長がよくなります。
根も呼吸をしていますので、水はけ(排水性)と通気性が大切です。
鉢に植え付け・植え替えをするときに、根元の位置を地表にしてあげましょう。
苗木は、倒れることを防ぐために深植えされていることが多く、ノリウツギの苗木は、根元が1.5センチぐらい土の中に埋まっていました。
根元が見えるまで、根鉢の表面の土を崩すと、根鉢の高さが小さくなりました。
根鉢の底は、
根や土が固まった状態で、
植え付け・植え替えをすると、
根の成長がよくありませんので、軽く崩します。
根鉢の底を竹串を使って崩します。
根が見えるようになるまで、根鉢の底の土を軽く崩しました。
根鉢をたくさん崩すと、枯れることが心配になりますが、植え付け・植え替え後の管理をしっかりすれば、大丈夫です。
枯れる原因は、根詰りによる根腐れが多いですので、不要な根は取り除きます。
根鉢を崩して、鉢に
植え付け・
植え替えをする準備ができました。
鉢に植え付け・植え替えをする
根鉢を崩した
ノリウツギを
用土を入れて準備した鉢に入れます。
根元の位置を確認します。
スリット鉢の段差まで用土を入れますので、根元の位置が段差になるように調節します。
高い場合は、3分目まで入れた用土を減らします。低い場合は用土を増やします。少し低いですので、用土を足しました。
根鉢の中心部分を竹串で挿すと、水通りや通気性がよくなります。
鉢の中に入れていますので、根鉢が崩れる心配がありません。
根鉢と鉢に隙間がありますので、用土を入れます
根鉢の土が細かく、保水性が高いですので、腐葉土を入れずに、赤玉土の小粒だけの用土にしました。
根の間に用土が隙間なく入るように竹串で突きます。
赤玉土は粒状ですので、隙間ができやすくなりますので、注意が必要です。
スリット鉢の
段差より少し下まで
用土を入れます。
仕上げに、表面の土は軽石を敷きます。
軽石は固く、水遣りをしても崩れませんので、キレイな状態が長持ちします。
水流が強い散水ノズルで水遣りしても、赤玉土の粒が崩れることがありません。
たくさんの植物を育てていますので、水遣りはジョウロではなく、ホースにつなげた散水ノズルでしています。
ノリウツギの苗木を鉢に
植え付け・植え替えをすることができ、
小さな鉢植えが完成しました。
ノリウツギの管理
ノリウツギの苗木を鉢に植え付け・植え替えした後は、すぐに水遣りをします。
鉢の底から透明な水が流れるまで、たっぷり水を与えます。
ノリウツギの水遣りは、鉢の土が乾いたら、たっぷり水を与えることが基本です。
春と秋は1日に1回、暑い夏は1日1~2回、寒い冬は落葉していますので、完全に乾かないように、3~4日に1回ぐらいが目安になります。
つぼみができてから花が咲く期間は、水切れに注意が必要です。水切れすると。つぼみや花が傷みます。
ノリウツギは、乾燥を嫌います。暑い夏は、乾燥を防止するために、株元をマルチングするとよいです。
植え付け・植え替えした後の1週間ぐらいは、直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。
葉が萎れるなどの異常がなければ、少しずつ日の当たる場所に移動させます。
ノリウツギは、午前中は日が当たり、午後からは日が当たらない半日陰で育てます。
暑さが厳しい真夏は、遮光して直射日光が当たらないように管理するとよいです。
耐寒性は強いですが、冷たい風や霜に当たると、枯れることがありますので、注意が必要です。
寒さが厳しい地域は、保護すると安心できます。
ノリウツギの育て方のポイント
- 半日陰で育てる。真夏は遮光して乾燥を防ぐ。
- 用土は市販の培養土。作る場合は、赤玉土と腐葉土を7:3。
- 水遣りは、鉢の土が乾いたら、たっぷり水を与えます。
- 肥料は、3月頃に緩効性化成肥料を置き肥。
- 植え付け・植え替えは、落葉期の11月~3月。
- 剪定は、花後の9月~3月。花が咲いた枝を切る
ノリウツギは特別な育て方はなく、基本を大切にすれば、初心者の方でも育てることができます。
鉢植えは根詰りしないように、2~3年に1回、植え替えをします。
耐寒性が弱く、0℃までですので、寒い冬は室内で管理すると安心できます。
剪定は、花が終わった後の9月~3月が適しています。花が咲いた枝は切り戻して、花が咲かなかった枝は切りません。
ノリウツギの今後
5月8日に、ノリウツギの苗木を鉢に植え付け・植え替えしました。
九州地方の福岡県の平野部で育てています。温暖な気候ですので、冬越しは簡単ですが、夏越しが難しいです。
ノリウツギの今後の様子はこの記事を更新します。
最初の目標は、枝を伸ばして、夏に美しい花を咲かせることです。
夏は花が少なくなりますので、楽しみが増えます。
花が咲き終わった後の剪定や冬越しなど、1年間の育てる様子を記録します。
更新しました。
ノリウツギのつぼみ
5月28日、撮影。
ノリウツギの苗木を鉢に植え付け・植え替えしてから、約3週間が経過しました。
順調に成長して、先端が芽吹き、葉が増えて、大きくなっています。
ノリウツギの先端に、
つぼみができています。
花が咲く時期の7月まで、1か月以上あります。九州地方の福岡県で、育てていますので、早く花が咲く可能性が高いです。
6月18日、撮影。
ノリウツギの
つぼみの数が増えて、大きく膨らんでいます。
ノリウツギの花
6月22日、撮影。
購入したときは、小さなノリウツギの苗木でしたが、約1か月半で大きく成長して、美しい斑入り葉が楽しめるようになりました。
ノリウツギの
花が咲き始めています。
ガク(萼)が発達した装飾花が美しいです。
6月28日、撮影。
ノリウツギの花が、少しずつ咲いています。
福岡県は6月下旬ですが、暑い日が続き、右の枝の花は咲くことがなく、枯れ始めているようです。
日差しが当たらないほうがよいようです。
ノリウツギの剪定
8月21日、撮影。
ノリウツギの花が終わり、夏の強い日差しで葉の状態が悪くなりました。
暑さが厳しい夏は、日陰で管理するとよいです。
ノリウツギの樹高は、苗木のときは13センチでしたが、成長して20センチ以上と大きくなりました。
コンパクトな小さな鉢植えで育てますので、剪定をする必要があります。ノリウツギの剪定は、花が咲き終わってから落葉している間にします。
花が咲いた枝を切り戻す剪定が基本です。
花が終わって、結実していますので、
種ができる可能性があります。
剪定をすると、
種を採取することができなくなりますので、
ノリウツギの
取り木をすることにしました。
剪定をする枝を取り木することで、鉢植えはコンパクトになり、
ノリウツギの株を増やすことができます。
ノリウツギの取り木の様子は、別の記事で詳しく書きましたので、参考にして下さい。
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次の更新は、落葉して冬越しの様子を予定しています。
普通のアジサイも育てています。
葉が5~7つに深く裂けて、カシワに似ているアジサイ。
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