クロモジ(黒文字)は、クスノキ科クロモジ属の落葉低木です。学名は、Lindera umbellataになります。
自生地は、関東地方より西の本州、四国、九州で、日本固有種です。
暖かくなる3月~4月に淡い黄色の小さな花を咲かせます。花が咲き始めると、同時に葉が芽吹きます。花びらは薄く、半透明で、早春を代表する花です。
クロモジは葉や枝から、とても良い香りがしますので、枝はお茶の席などで和菓子の樹皮が付いた高級爪楊枝に使われます。
クロモジは、テルペネオールやリモネンという芳香成分が含まれ、柑橘系に似た特有の香りがあることから、採れる精油は香水や石鹸などにも使われ、葉からクロモジ茶を作ることができます。
実用性が高く、春の花や新緑、秋の紅葉と鑑賞にも最適な樹になります。
激安園芸店で、クロモジの苗木が販売されていましたので、育てることにチャレンジします。
クロモジの苗木
激安園芸店ですので、ラベルは手書きです。
落葉した状態ですが、芽が枝の先端にあることを確認して、購入しました。花芽か?葉芽か?区別できません。
クロモジの苗木の樹高は、一番高い幹が30センチぐらいです。
直径12センチ、4号のビニールポットに植えられています。
細い幹は、枝の部分で少し曲がりながら伸びています。
クロモジは株立ちの樹形が多く、購入した苗木も、たくさん幹があります。
クロモジは、大きく成長すると、管理が大変になりますので、
鉢植えで育てます。
鉢植えで育てることで、管理が簡単になります。
日当たりを調節するために場所を移動したり、植え替えをしたり、小さな鉢植えは簡単にできます。
株分けすることができれば、小さな鉢で育てます。株分けできそうになければ、大きな鉢に植え付け・植え替えします。
植え付け・植え替えの準備
クロモジの苗木を、鉢に植え付け・植え替えをするための準備をします。
必要な道具は、ハサミ、ピンセット、竹串、ナイフ、フォークです。
鉢受け皿の中で作業すると、周りを土で汚すことがなく、後片付けが簡単になります。
鉢受け皿は、100均でも販売されていますので、大きなサイズを植え付け・植え替え用に購入するとよいです。
クロモジの植え付け・植え替えに適した時期は、落葉している11月~3月。寒さが厳しい1月と2月は避けたほうがよいです。
ビニールポットから取り出す
最初にビニールポットの底を確認します。
根がたくさん出ていますと、引っかかってビニールポットから取り出すことができません。
根がビニールポットの底の穴から出ている場合は、ハサミで切ります。
ビニールポットと土の隙間にナイフを入れ、そのまま1周させます。
根詰まりしていますと、ナイフを1周させることができませんので、一度抜き、別の場所に入れます。
園芸用の専用の道具である「植え替えナイフ」「スパチュラ」がありますが、食器のナイフで代用できます。
ステンレス製ですので、さびにくく、強度があります。
ビニールポットの底の角を指でつまむように押すと、簡単に取り出すことができます。
手で引っ張り上向きに、ビニールポットから取り出すと、根鉢が崩れて落としたり、土がこぼれたりしますので、置いて作業すると失敗なくできます。
クロモジの苗木をビニールポットから取り出すことができました。
クロモジの根鉢
クロモジの苗木をビニールポットから取り出すことができ、根鉢の状態になりました。
根鉢は、苗木を鉢やビニールポットから取り出して、根と土が固まって見えている状態のことです。
根鉢の底を確認すると、
根は多くないです。
土の状態がよいですので、ビニールポットに植え付け・植え替えをして、日数が経過してない可能性があります。
根鉢の底を三分の一ぐらいを崩して、一回り大きな鉢に
植え付け・
植え替えすることが基本です。
根鉢を崩す
根鉢の表面の土は、水遣りで土の粒が崩れると、水通りと通気性が悪くなります。
植え付け・植え替えのときに、表面の土を崩すと状態がよくなり、見た目も改善します。
育てているときに、表面の土を崩すことを「中耕(ちゅうこう)」と言います。雑草を取り除き、水通りと通気性が改善しますので、おすすめです。
竹串を使って、根鉢の表面の土を崩します。
表面の土が固まっている場合は、フォークが役に立ちます。
食器のフォークは、「根さばき」「根かき」の代用品として使えます。
フォークを使って、
クロモジの
根鉢の表面の土を取り除きました。
根が見えるまで、根鉢の表面の土を崩します。根元は幹や根を傷つけないように、竹串を使って、丁寧に土を崩します。
竹串は、素材が竹ですので、適度な硬さで幹や根を傷つけにくい特徴があります。
ちょっとした作業に使えますので、園芸用に100均で購入するとよいです。
根元が見えるようになり、
クロモジの苗木は、3つの株があることがわかります。
根鉢の土は、粒がしっかりしていますので、簡単に崩せる状態です。
側面を竹串で突き、土を取り除いて株分けをします。
クロモジの株分け
竹串を使って、株と株の間で絡まっている
根をほどきます。
根をあまり切ることなく、
クロモジの苗木を3つに
株分けすることができました。
クロモジの鉢植え
クロモジの鉢は、アップルウェアーのプレステラ105型にします。
ホームセンターや園芸店で10ヶ組で販売され、価格が安いですので、おすすめの鉢です。
苗木の植え付け・植え替えをするときは、予備の鉢を用意します。株分けしたほうがよい場合や鉢のサイズを変更することがあります。
一回り小さいプレステラ90型もあり、いつでも植え付け・植え替えができるように、購入して鉢の予備を用意しています。
プレステラの大きな特徴は、側面から底にスリットが多く設置されていることです。
スリットにより根の先端が光を浴びて、伸びることができなくなります。
鉢の底で根が巻くサークリング現象を防ぎ、根詰りすることなく、用土を有効に利用でき、植物が元気に成長できる鉢です。
鉢植えで、クロモジを元気に育てることができ、根詰りを防止しますので、植え替えの頻度も少なくなります。
プレステラは、底に特許番号が記載されています。
正方形の角に長い
スリット、4つの辺の中央に短い
スリット、合計8ヵ所に設置されています。
1辺に2ヶ所、合計8ヵ所に仕切りがあり、根が鉢の底に沿って伸びることを防ぎます。
スリットだけでなく、仕切りを設置することで、完全に鉢の底で根が巻くことを防ぎます。
段差まで用土を入れると、ウォータースペースができ、水遣りが簡単になります。
プレステラは、生産者向けの商品で、実績がありますので、クロモジを健康で丈夫に育てることが期待できます。
デメリットは、デザイン性がよくないことです。プラスチック製の鉢ですが、日本製ですので耐久性が高く、よい鉢です。
プレステラ105型は、1辺9センチの正方形の鉢です。
普通の円形の鉢の3号(直径9センチ)より、少し大きなサイズになります。
鉢の高さは8センチぐらい。
クロモジの用土
プレステラは、スリットが多く設置され、水はけ(排水性)がよいですので、鉢底石の必要がありませんが、スリットから用土が流れ出ることを防ぐために、鉢底石を敷きました。
クロモジは、水はけがよい肥沃な土を好みます。
ホームセンターや園芸店で販売されている普通の培養土で育てることができます。
用土を作る場合は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜた用土が適しています。
クロモジの植え付け・植え替え
クロモジの苗木の
土は状態がよいですので、再利用します。
鉢底石を敷いた鉢に、
株分けした
クロモジを入れます。
残りの2つの株も鉢に
植え付け・
植え替えをして、3つの
クロモジの
鉢植えができました。
クロモジの管理
クロモジの苗木を鉢に植え付け・植え替えした後は、すぐに水遣りをします。
鉢の底から透明な水が流れるまで、たっぷり水を与えます。
クロモジの水遣りは、鉢の表面の土が乾いたら、たっぷり水を与えることが基本です。
春と秋は1日1回、暑い夏は朝と夕方の1日2回、落葉している冬は完全に乾かないように2~3日に1回ぐらいが目安になります。
花が咲く期間は、水切れに注意が必要です。水切れすると花が傷みます。
寒い冬でも、乾いた風で1日で乾いたり、小春日和で暖かい日があったりしますので、1日1回は、乾き具合を確認するようにしましょう。
植え付け・植え替えした後の1週間ぐらいは、直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。
芽に異常がなければ、少しずつ日の当たる場所に移動させます。
クロモジは、日当たり・風通しのよい場所で管理します。乾燥を嫌いますので、暑い夏は、西日を避けて、風通しのよい半日陰に移動させます。
暖かくなる春の3月~4月に花が咲きますが、雨に当たると花持ちが悪くなりますので、雨の当たらないところがよいです。
クロモジの育て方のポイント
- 日当たり・風通しがよい場所で育てる。
- 水はけがよい肥沃な用土を好む。市販の培養土、または赤玉土と腐葉土を7:3で配合。
- 水遣りは、表面の土が乾いたら、たっぷり水を与えます。
- 肥料は寒肥を少量与えます。
- 夏は西日を避け、風通しのよい半日陰で管理。
- 植え付け・植え替えは、落葉している11月~3月が適しています。
クロモジは基本を大切にすれば、初心者の方でも育てることができます。
鉢植えは根詰りしないように、2~3年に1回、植え替えをします。
耐寒性・耐暑性が強いですが、乾燥を嫌いますので、猛暑の夏越しが管理のポイントになります。夏は、西日を避けて、風通しのよい半日陰で管理します。
クロモジの今後
3月12日に、
クロモジの苗木を鉢に
植え付け・
植え替えしました。九州地方の福岡県の平野部で育てていますので、温暖な気候です。
クロモジの今後の様子はこの記事を更新します。
最初の目標は、花を咲かせることです。まだ小さな苗木ですので、花が咲くか?わかりません。
花が咲かないようであれば、大きな鉢に植え替えをして、大きく育てます。
更新しました。
クロモジの芽吹き
4月8日、撮影。
クロモジの苗木を鉢に植え付け・植え替えしてから、1ヶ月が経過しました。
4月になり、暖かい日が続き、クロモジの鉢植えは、順調に成長しています。
クロモジの鉢植えに、
葉が芽吹きました。
落葉樹を冬の葉がない状態で購入すると、葉が芽吹くまで心配になります。
5月20日、撮影。
クロモジの鉢植えは、樹は小さいですが、葉は大きくなりました。
クロモジの剪定
7月2日、撮影。
クロモジの3つの鉢植えは、順調に成長しています。
先端が成長して、長く伸びていますので、
クロモジを
剪定します。
先端の枝を剪定する「芯止め」をします。
「芯止め」は、幹の先端を切り、それ以上、幹が伸びないようにする剪定の方法です。
先端を切られることで、上に伸びる力は止まり、脇から伸びる芽や枝葉が充実するようになるメリットがあります。
幹の先端をハサミで切り、
剪定しました。
枝が伸びて、バランスよく成長すること期待します。
クロモジの鉢植えは、樹高が30センチぐらいになりました。
枝が増えて、幹が太くなり、来シーズンの春に、花が咲くこと目指します。
3つの鉢を
剪定しました。
剪定した枝を捨てることは、もったいないですので、挿し穂にして、
クロモジの挿し木にチャレンジしました。
クロモジの挿し木については、別の記事で詳しく書きましたので、参考にして下さい。
関連記事
次の更新は、夏越しの様子を予定しています。
クロモジの夏越しと紅葉
11月4日、撮影。
クロモジの鉢植えは、夏の強い日差しで葉焼けして、葉がなくなりました。クロモジの夏越しは失敗です。
日当たりのよい場所で管理したことが原因です。樹が小さいですので、暑さが厳しい夏は、西日の当たらない半日陰で、葉焼けを防ぐ必要があります。
1枚だけ残った
葉。先端は
葉焼けで茶色になり、枯れています。
クロモジの紅葉は、緑色の葉が黄色に色づきます。
葉焼けしていない部分は、黄色ですので、紅葉しています。美しい紅葉ではありませんが、紅葉することが確認できました。
来シーズンは、夏越しを成功させて、美しい紅葉を楽しむことを目標にします。
クロモジの冬越し
クロモジは落葉樹ですので、寒い冬は
葉がなくなり、
冬越しします。
寒さに強いですが、細い枝が枯れることがありますので、霜や冷たい風が当たらない場所で管理します。
積雪する地域は、雪の重さで枝が折れることがありますので、注意が必要です。
クロモジの鉢植えに、暖かくなる来春に芽吹く芽があります。芽の形が長細いですので葉芽です。花芽は丸い形になります。
残念ですが、3つの鉢植えに花芽はありませんでした。
来シーズンは、大きな鉢に植え替えをして、
クロモジの
花が咲くように、樹を大きく成長させること目標にして、育てます。
次の更新は、冬越しをして、春の植え替えを予定しています。
0 件のコメント :
コメントを投稿