クモマグサ(雲間草)は、ユキノシタ科ユキノシタ属の常緑性の多年草です。学名はSaxifraga Mossy Groupになります。
日本原産のクモマグサは、本州の中部にある高山地帯の岩場に自生して、栽培がとても難しい植物です。
ホームセンターや園芸店で販売されているクモマグサは、ヨーロッパ原産で、洋種クモマグサや西洋クモマグサと呼ばれることもあります。
クモマグサは高山植物ですが、長年にわたり、栽培しやすく、花がよく咲くものを選抜が繰り返されていますので、普通に育てることができます。
ホームセンターで、花が咲き始め、つぼみがたくさんあるクモマグサの苗が販売されていましたので、購入して育てます。
クモマグサの苗
クモマグサの苗のラベルは、とてもシンプルです。
ラベルは保管するようにしていますが、紛失することが多いですので、写真に撮って管理しています。
植物のラベル用にアルバム(フォルダー)を作り、保存しています。
ラベルの裏に簡単に説明が記載されています。
クモマグサ
ユキノシタ科ユキノシタ属
原産地●欧州の高山
●日本の本州中部や北海道の高山
日光を好みますから日当たりの良い窓辺や庭先に置いてください。
夏は風通を良くしてください。
水やり:鉢土の表面が乾き気味になったらたっぷり与えてください。
クモマグサの苗の草丈は、5センチぐらいと、とても小さいです。
10~20センチぐらいになりますが、小さいほうが可愛らしくてよい雰囲気になります。
直径9センチ、3号の小さなビニールポットに植えられています。
温室で促成栽培された苗が、2月頃からホームセンターや園芸店で販売されます。花が咲く時期は4~5月ですが、花やつぼみがあります。
クモマグサの苗の選び方は、葉の色がよく元気なもの、葉が黄色に変色していない苗がよいです。
屋外で管理する場合は、あまり花が咲いていない苗の方が、長く楽しめます。
クモマグサの小さな鉢植え
クモマグサは、小さくて葉が密に茂りますので、山野草の盆栽風がよく似合います。
キレイな盆栽鉢がよいですが、夏の管理が心配ですので、小さな鉢植えで育てます。
日当たりを調節するために場所を移動したり、植え替えをしたり、小さな鉢植えは管理が簡単にできます。
クモマグサの鉢は、アップルウェアーのプレステラ105型にします。
ホームセンターや園芸店で10ヶ組で販売され、価格が安いですので、おすすめの鉢です。
苗木の植え付け・植え替えをするときは、予備の鉢を用意します。株分けしたほうがよい場合や鉢のサイズを変更することがあります。
一回り小さなプレステラ90型もあり、いつでも植え付け・植え替えができるように、購入して鉢の予備を用意しています。
クモマグサの苗をビニールポットのままの状態で、鉢に入れると、
植え付け・
植え替えしたときの
雰囲気が確認できます。
プレステラの大きな特徴は、側面から底にスリットが多く設置されていることです。
スリットにより根の先端が光を浴びて、伸びることができなくなります。
鉢の底で根が巻くサークリング現象を防ぎ、根詰りすることなく、用土を有効に利用でき、植物が元気に成長できる鉢です。
小さな鉢植えで、クモマグサを元気に育てることができ、根詰りを防止しますので、植え替えの頻度も少なくなります。
プレステラは、底に特許番号が記載されています。
正方形の角に長い
スリット、4つの辺の中央に短い
スリット、合計8ヵ所に設置されています。
1辺に2ヶ所、合計8ヵ所に仕切りがあり、根が鉢の底に沿って伸びることを防ぎます。
スリットだけでなく、仕切りを設置することで、完全に鉢の底で根が巻くことを防ぎます。
段差まで用土を入れると、ウォータースペースができ、水遣りが簡単になります。
プレステラは、生産者向けの商品で、実績がありますので、クモマグサを健康で丈夫に育てることが期待できます。
デメリットは、デザイン性がよくないことです。プラスチック製の鉢ですが、日本製ですので耐久性が高く、よい鉢です。
プレステラ105型は、1辺が9センチの正方形の鉢です。
普通の円形の鉢の3号(直径9センチ)より、少し大きなサイズになります。
クモマグサの用土
プレステラは、スリットが多く設置され、水はけ(排水性)がよいですので、鉢底石の必要がありませんが、スリットから用土が流れ出ることを防ぐために、鉢底石を敷きました。
クモマグサは、ホームセンターや園芸店で販売されている山野草用の培養土で育てることができます。
用土を作る場合は、赤玉土と鹿沼土、軽石の小粒を1:1:1の割合で混ぜた用土が適しています。
赤玉土と鹿沼土、軽石が均一になるように混ぜます。
鉢底石の上に
用土を入れます。
鉢の高さの底から3分目まで用土を入れて、クモマグサの鉢の準備ができました。
苗木の植え付け・植え替えは、根が乾燥しないように、素早く作業したいです。鉢の準備を最初にするとよいです。
クモマグサの肥料
クモマグサは、リン酸やカリウムが多く配合された肥料を元肥に使います。
元肥は、植え付け・植え替えのときに、用土に混ぜる肥料のことです。
真夏の除く、3月~9月に月に1~2回ぐらい、液体肥料を与えるとよいです。
N(チッソ)、P(リン酸)、K(カリ)が5:8:5、P(リン酸)が多めの花用の肥料です。
5:8:5で合計18、合計の数字が30未満ですので、低度化成肥料になります。30以上は高度化成肥料です。
あまり強くありませんので、気軽に使うことができる肥料になります。
数字が大きいほうが、肥料の効果が高いですが、植物によっては根が傷むものがありますので、注意してください。
肥料は説明書をよく読み、適量を与えましょう。
小さじに三分の一ぐらい、少量の肥料を元肥として用土に混ぜます。小さじは5ミリリットルですので、水であれば5グラムになります。
肥料の説明書の1株当たりの元肥の8グラムより少ないです。
肥料は少なく与えて、葉が黄色になったり、成長が悪かったりして、足りない場合は追肥します。
肥料を入れて、用土と軽く混ぜて、根に直接当たらないようにします。
クモマグサの植え付け・植え替え
クモマグサの苗を、鉢に植え付け・植え替えをします。
必要な道具は、ハサミ、ピンセット、竹串です。
鉢受け皿の中で作業すると、周りを土で汚すことがなく、後片付けが簡単になります。
鉢受け皿は、100均でも販売されていますので、大きなサイズを植え付け・植え替え用に購入するとよいです。
クモマグサの植え付け・植え替えに適した時期は、花が終わってから1か月以内です。5月頃になります。
1月下旬ですので、植え付け・植え替えの時期ではありませんが、ビニールポットのままで、冬越しさせることは負担になりますので、鉢に植え付け・植え替えをします。
ビニールポットから取り出す
最初に、底を確認します。
根がたくさん出ていますと、引っかかってビニールポットから取り出すことができません。
根がビニールポットの底の穴から出ている場合は、ハサミで切ります。
根が引っ掛かる心配がなくなりました。
クモマグサの苗を鉢受け皿の中に横向きに置きます。
ビニールポットの底の角を指でつまむように押すと、簡単に取り出すことができます。
手で引っ張り上向きに、ビニールポットから取り出すと、根鉢が崩れて落としたり、土がこぼれたりしますので、置いて作業すると失敗なくできます。
クモマグサの苗をビニールポットから取り出すことができました。
クモマグサの根鉢
クモマグサの苗をビニールポットから取り出すことができ、根鉢の状態になりました。
根鉢は、苗木を鉢やビニールポットから取り出して、根と土が固まって見えている状態のことです。
根鉢の状態は、小さいビニールポットですので、根がたくさんあり、根詰りに近いです。
根鉢の底を観察すると、根の量が多く、底で根が巻くサークリング現象が起きています。
根詰りに近い状態ですので、植え付け・植え替えに適したタイミングです。
根鉢を崩す
根鉢の底を三分の一ぐらいを崩して、一回り大きな鉢に植え付け・植え替えすることが基本です。
1月下旬と寒い時期ですので、底を軽く崩して、植え付け・植え替えをします。
クモマグサは、
葉が密集していますので、
下の方に枯れた葉があります。
上の葉に隠れていますので、植え付け・植え替えのときに、枯れた葉を取り除きます。
クモマグサの苗は、株がたくさんありますので、中心にも枯れた
葉があります。
根鉢の表面の土は、水遣りで土の粒が崩れると、水通りと通気性が悪くなります。
植え付け・植え替えのときに、表面の土を崩すと状態がよくなり、見た目も改善します。
育てているときに、表面の土を崩すことを「中耕(ちゅうこう)」と言います。雑草を取り除き、水通りと通気性が改善しますので、おすすめです。
竹串を使って、根鉢の表面の土を崩します。
根鉢の底は、根がたくさんあり、固まっています。
このままの状態で、植え付け・植え替えをすると、根の成長がよくありませんので、軽く崩します。
根鉢の底を竹串を使って崩します。
サークリング現象で、底で巻いている根をほぐします。
根鉢を崩して、鉢に植え付け・植え替えをする準備ができました。
根鉢の外側にある株を取り、株分けしました。
小さな株で、全体のバランスが悪くなりますので、株分けして、他の鉢で育てます。
鉢に植え付け・植え替えをする
根鉢を崩した
クモマグサを
用土を入れて準備した鉢に入れます。
根元の位置を確認します。
プレステラの段差まで用土を入れますので、根元の位置が段差になるように調節します。
高い場合は、3分目まで入れた用土を減らします。低い場合は用土を増やします。
根鉢と鉢に隙間がありますので、鹿沼土の小粒だけを入れました。
根鉢の土が細かく、保水性が高いですので、水はけ(排水性)がよい鹿沼土の小粒だけを入れることで、ちょうどよくなります。
クモマグサの小さな鉢植えが完成しました。
小さな鉢植えですので、いろいろな場所に飾ることができ、管理も簡単です。
株分けした苗
根鉢の外側にあった草丈が小さい苗が3つあります。
直径6センチ、2号のスリット鉢に
植え付け・植え替えをします。
クモマグサのとても小さな鉢植えになりました。
小さくて、可愛らしいですが、用土の量が少なく、暑い夏の管理が難しくなります。
クモマグサの管理
クモマグサの苗を鉢に植え付け・植え替えした後は、すぐに水遣りをします。
鉢の底から透明な水が流れるまで、たっぷり水を与えます。葉や花に水がかからないように、水差しで水を与えます。
クモマグサの水遣りは、鉢の表面の土が乾いたら、たっぷり水を与えることが基本です。
春と秋は1日1回、暑い夏は朝と夕方の1日2回、寒い冬は2~3日に1回ぐらいが目安になります。
花が咲く期間は、水切れに注意が必要です。水切れすると花が傷みます。
寒い冬でも、乾いた風で1日で乾いたり、小春日和で暖かい日があったりしますので、1日1回は、乾き具合を確認するようにしましょう。
植え付け・植え替えした後の1週間ぐらいは、直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。
葉が萎れるなどの異常がなければ、少しずつ日の当たる場所に移動させます。
クモマグサは、日当たり・風通しの良い場所で管理します。高温多湿に弱いですので、暑い夏は、風通しのよい、半日陰に移動させます。
4月から5月と長期間、花が咲きますが、雨に当たると花持ちが悪くなりますので、雨の当たらないところがよいです。
クモマグサの育て方のポイント
- 日当たりがよい場所で育てる。
- 用土は山野草の培養土。または、赤玉土、鹿沼土、軽石の小粒を1:1:1で配合。
- 水遣りは、表面の土が乾いたら、たっぷり水を与えます。
- 肥料は元肥と3~9月に液体肥料を与えます。
- 夏は風通しのよい、半日陰で管理。
- 植え付け・植え替えは、花が終わって1か月以内が適しています。
クモマグサは基本を大切にすれば、初心者の方でも育てることができます。
鉢植えは根詰りしないように、2~3年に1回、花が終わって1か月以内に植え替えをします。
耐寒性が強いですが、夏の高温多湿に弱いですので、夏越しが管理のポイントになります。
高山植物ですので、夏は、風通しのよい、半日陰で管理します。
クモマグサの今後
1月25日に、
クモマグサの苗を鉢に
植え付け・
植え替えしました。
九州地方の福岡県の平野部で育てていますので、温暖な気候です。
クモマグサの今後の様子はこの記事を更新します。
最初の目標は、花がどのくらいの期間、咲き続けるか?確認します。
ホームセンターや園芸店で販売されているクモマグサの苗は、促成栽培により、1月下旬ですが、花が咲き始めています。
5月まで咲き続けるか?心配です。
高山植物ですので、暑い夏が心配になります。夏越しがクモマグサの栽培のポイントになります。
1年間の育てる様子を記録します。
クモマグサと同じように、春に花が咲く山野草であるサギゴケ(鷺苔)を育てていますので、参考にして下さい。
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