アジサイの挿し木
アジサイ(紫陽花)の挿し木をするためには、挿し穂を準備する必要があります。アジサイを栽培している場合は簡単に手に入れることができますが、栽培していない場合は、友人や知人、近所の方から分けて頂きましょう。
今回は、
アジサイの中でもガクアジサイの
挿し穂がネットオークションで安く出品されていたので、落札しました。送料が安いですので、気軽にチェレンジできる金額でした。
郵送に日数が必要になりますので、できるだけ近くの出品が安心できます。
アジサイ(紫陽花)の挿し穂の準備
アジサイ(紫陽花)の挿し木の挿し穂の準備に必要な道具は
- 挿し穂を水揚げするための容器
- よく切れる清潔なカッター
- 発根促進剤のルートン
の3つだけです。必要な道具を準備して挿し木を成功させましょう。
①切って水揚げする
挿し穂の準備に必要な道具はカッターだけです。キレイに切るほうが挿し木の成功率が高くなりますので、新しい刃をライターの火であぶり、殺菌しました。雑菌は挿し穂が腐食する原因になります。
切り口の
道管をつぶさないように、よく切れる
カッターで切ることが大切です。
道管の断面が少しでも大きくなるように、斜めに切ります。
挿し穂の準備で注意するポイントは、水切りすることです。水切りは、水中で切ることです。根から吸収した水は道管を通り、葉に運ばれます。空気中で切ると道管に空気が入り、気泡ができるため、水の通りが悪くなります。
水中で切ることで気泡の発生を防ぎ、切り口から水を吸うことが効率よくできます。切り花で使われる技法で、花屋さんなどでは基本の作業です。ちょっとしたことですが、挿し木の成功率が高くなります。
挿し穂の長さは10センチ前後で葉が2~3枚ぐらいが最適です。先端の花を落とした枝や剪定した枝で大丈夫です。
全体を水に入れ2時間ぐらい水揚げして、挿し穂にたくさん水を吸わせます。
②葉を切ってルートンを塗る
アジサイ(紫陽花)の小さな鉢植えを作るために、挿し穂は短く切りました。葉が大きいですので半分くらいに切ります。
葉を半分に切る効果は、枯れないために
必要な水の量を減らすことです。根がなく、切り口からの吸収だけになるため、大きな葉を維持できるだけの水を吸い上げることは難しくなります。
ハサミで葉を半分に切ります。難しことはなく簡単な作業です。葉が傷つくことで修復作用が働き、発根しやすくなる説がありますが、真偽は不明です。
写真撮影のため、水揚げの容器から移動させて葉を切りましたが、水揚げの容器で水の中で葉を切ったほうがよいでしょう。
挿し穂がよく見えるように白い容器に入れて写真撮影しました。
挿し木の成功率をあげるため、発根促進剤であるルートンを使用することがポイントです。園芸店やホームセンターで販売されていますので用意しましょう。
一番小さなもので十分な量があります。量が多いものは、お買い得感がありますが使用期限までに使い切ることが難しいですので、小さなものを購入しましょう。
リンク
小さな鉢受け皿にルートンを入れます。挿し穂の切り口周辺につけるだけですので、少量で大丈夫です。
あまり減ることがなく、今回使用しているルートンは使用期限が切れています。使用期限は5年間です。
小さな鉢受け皿は、100均で3個セットなどで販売されています。
挿し木した鉢の夏場の水切れ対策に使用できますので、準備しましょう。
挿し穂の斜めに切った切り口にルートンを付けます。水で濡れていますので、簡単につきます。
ルートンを適当量つけます。
ルートンの詳しい使い方が書いてあるサイトがあります。参考にしてください。
農業生産資材販売会社が提携して、農園芸に関連する有益な情報を提供しているグリーンジャパンのサイトです。
ルートンの使い方
生産している石原バイオサイエンスの製品情報のサイトもあります。
ルートン製品情報
アジサイの挿し木:挿し穂を鉢に植え付ける
アジサイ(紫陽花)の挿し木をするために鉢を準備します。陶器やプラスチック製など、どのような鉢でも問題なく使用できます。
100均の小さな
素焼きの鉢を使用しましたが、乾きやすく水遣りが大変でしたので、おすすめできません。少し大きいほうが夏場の水切れ対策に適しています。
アジサイ(紫陽花)の挿し木に使用する用土は赤玉土の小粒です。挿し木の用土は、いろいろなものが紹介されていますが、挿し木のためだけに用土を準備することは無駄が多くなりますので、基本の用土である赤玉土だけにしました。
アジサイは発根しやすいですので、用土に神経質になる必要はありません。注意するポイントは雑菌が少なく清潔であることです。肥料入りの用土は使用しないでください。水遣りを多くするとカビなどの雑菌が発生しやすいです。
準備した鉢の3~4分目くらいまでに用土を入れます。
ルートンを塗った
挿し穂を鉢に植え付けます。
水遣りを簡単にするために1つの鉢の3本の
挿し穂を植え付けました。
挿し穂が発根したら植え替えをしなければばりませんが、
水遣りをする鉢が少なくなり、管理が楽になります。
挿し穂が動かないように、傾けて鉢のふちにつけます。葉が風を受けて挿し穂が動くと、発根したばかりの細い根が切れます。
挿し穂の
植え付けができました。用土は鉢の8分目くらいにします。
植え付けの仕上げは水遣りです。底から流れる水が最初は泥水ですが、透明になるまで水やりします。用土の細かい微塵を取り除きます。
微塵を取り除くと水はけがよく、通気性に優れますので、発根に良い環境になります。微塵が固まると水で流すことができなくなりますので、最初の水遣りでキレイに流します。
アジサイ(紫陽花)の挿し木:番外編
挿し穂を作ったときに残った枝です。捨てることはもったいないような気がします。
葉がない挿し穂でも発根できるか?確認してみます。
余ったルートンを塗ります。
小さな素焼きの鉢に植え付けて、
発根するか?を実験します。
用土を入れて、葉のない
挿し穂のアジサイの
挿し木の完成です。アジサイは発根が良いですので、成功する可能性があります。
アジサイ(紫陽花)の挿し木の管理
アジサイ(紫陽花)の挿し木を成功させるポイントは、発根するまでの管理です。アジサイは鉢植えでも
水切れに注意して
水遣りをする必要があります。
水を吸い上げる能力が低い
挿し木は、特に注意が必要です。
挿し木をしてから1週間から10日ぐらいは、直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。
挿し木の用土が乾かないように水遣りをしなければなりません。暑い日は特に注意が必要ですが、1日中、在宅できる方は少なく、夕方に用土が乾いて葉がしおれることがあります。
天気予報を確認して暑くなる日は朝の
水遣りで、
鉢受け皿に水を入れます。暑い昼間に乾くことを防ぎます。
アジサイ(紫陽花)の挿し木:成長の記録
今回のアジサイ(紫陽花)の挿し木は秋の9月18日に作業しました。
挿し木の最適な時期は梅雨の6~7月ですが、ネットオークションで
挿し穂が安く出品されていたのでチャレンジしました。
約1週間後の
9月26日の写真です。まだ暑い日が多いですが、葉の状態がよく、
水遣りはうまくできています。
鉢受け皿に水を入れると鉢の中の通気性が悪くなりますので、夕方に鉢受け皿から取り出します。
水分過多は根腐れの原因になりますので注意してください。
葉のない挿し穂もキレイな緑色で2つは節から新芽が芽吹いています。植物の生命力の強さを感じさせてくれます。隣の白い容器は茎を水に入れて芽吹くか?実験をしています。
アジサイ(紫陽花)の挿し木:10月の様子
挿し木①の
10月4日の様子。短い挿し穂が3つある鉢を挿し木①とします。
挿し穂②の
10月4日の様子。中央に長い挿し穂がある鉢の挿し木②として、今後の成長を記録します。
よく観察すると
発根しているようです。土の中は観察できませんが、
葉の状態や茎の様子を見ると発根できていることが確認できます。
アジサイ(紫陽花)の
挿し木の成功に期待が持てるようになりました。9月に
挿し木をしたので少し心配でしたが、
湿度が低い秋でも挿し木できることが確認できました。
葉のない挿し穂の
10月4日の様子。2つの挿し穂が少し芽吹いています。葉ができると
発根に必要な養分を作ることができます。葉が芽吹いていない2つの挿し穂は、難しそうです。
アジサイ(紫陽花)の挿し木:11月の様子
挿し木①の
11月8日の様子。葉が少し変色していますが、11月になり寒くなった影響です。
挿し木をしてから約2か月が経過していますので、根がないと葉が枯れます。
発根して根から水を吸収できています。
挿し木②の11月8日の様子。福岡県は温暖ですので、11月でも晴れていると少し暑い日があります。水遣りに注意しながら管理します。
葉のない挿し穂の11月8日の様子。芽吹いた葉が少しだけ大きくなりました。茎の色が少し茶色になり、枯れ始めているようです。
アジサイ(紫陽花)の挿し木:12月の様子
挿し木①、
挿し木②、
葉がない挿し穂の
12月9日の様子。
アジサイ(紫陽花)は落葉樹ですので、冬は葉がなくなり枯れる枝もあります。
左前にある鉢は、他の種類のアジサイです。
枝の先端で春に芽吹く新芽が作られていますので、
冷たい風が当たらない場所で管理します。積雪する地域では軒下などで雪や霜から保護しましょう。
12月の終わりに落葉して枝だけになりました。
冬の間も用土が乾燥しないように2~3日に1回は水遣りをします。
冬は乾燥しますので、風の強い日は1日で用土が乾くことがあります。小さな鉢は狭い場所でも置くことができ便利ですが、
用土が乾きやすいデメリットがあります。
冬に水遣りを忘れたことが、小さな鉢植えや盆栽を枯らす原因になることが多いです。暖かくなる3月まで、変化がなく寂しくなります。
アジサイ(紫陽花)の挿し木:3月の様子
挿し木①の
3月9日の様子。暖かくなり始めた3月の
アジサイ(紫陽花)の
挿し木。
挿し穂①は左右の2つの先端に新芽があります。
一番短い中央は芽がなく、少し心配です。葉が芽吹き始めたら植え替えをする予定です。小さな鉢では今後の成長が悪くなります。
挿し木②の3月9日の様子。挿し木②は先端に新芽がありません。中央の長い挿し穂は先端にとても小さな芽らしきものがありますが、芽吹いてくれるか?不安です。
左の挿し穂は期待が芽吹く可能性が低そうです。同じように挿し木して管理していますが、すべてが成功することは難しいようです。
葉のない挿し穂の
3月9日の様子。葉が少し芽吹いた左から2番目と他の挿し穂では色に違いがあります。薄い茶色の3つの挿し穂は完全に枯れている可能性が高いです。
今後の挿し木の様子も記録を続けて、記事を更新します。葉が芽吹いて、花が咲くまでを記録します。
アジサイ(紫陽花)の挿し木の植え替え
挿し木は複数の挿し穂を使って成功率を高めます。密集して挿したままでは、その後の成長が悪く、花が咲くまで長い期間が必要になります。
発根した挿し木を大きな鉢に植え替えをして、大きく成長できるようにします。アジサイの美しい花が咲くことが目標です。
アジサイ(紫陽花)の挿し木:春の芽吹き
4月2日撮影:
挿し木①は左右の2つから新芽が芽吹いています。中央の小さな挿し穂が少し心配です。
4月2日撮影:
挿し木②は中央と右の2つから新芽が芽吹いています。左の挿し木は新芽がありません。
葉がない茎だけの挿し木4つは、新芽がありません。色を比べると完全に枯れて薄い茶色になっています。生きている挿し木は濃い茶色です。挿し木①と②の新芽がない挿し木は濃い茶色ですので、まだ芽吹く可能性があります。
秋に挿し木をしたので成長する期間が短く、寒い冬に耐えることができるか?心配でしたが、新芽が芽吹いて安心しました。
芽吹き始めた春は植え替えに最適な時期ですが、根の量が少ないかもしれないので心配です。葉が大きく成長した梅雨ぐらいに植え替えをすることにしました。梅雨の時期は湿度が高く、少ない根でも水切れすることがありません。
梅雨前のアジサイ(紫陽花)の挿し木
5月30日撮影:挿し木①は心配していた中央の挿し穂からも葉が芽吹きました。
5月30日撮影:挿し木②は左の挿し穂は小さな葉ですが芽吹き、中央の挿し穂は2ヶ所から葉が芽吹いています。
九州北部の福岡県は、6月の5日頃が平年の梅雨入り時期ですので、アジサイ(紫陽花)の挿し木の植え替えをします。
鉢が小さいですので、これ以上大きく成長できません。全部で6つの挿し穂があり、大きな鉢に間隔を広くして植える方法と1つずつ別の鉢に植える方法があります。
寄せ植えにしてたくさんの花を楽しむなら1つの大きな鉢に植える方法がよいです。小さな鉢植えでミニ盆栽風にして花を楽しみたいので、1つずつ植える方法を選択します。
アジサイ(紫陽花)の挿し木を植え替える方法
挿し木②を使って
植え替えの様子を詳しく説明します。3つの挿し穂がある鉢は直径7.5センチの
2.5号の素焼きの鉢です。
植え替えのために用意した鉢はプラ鉢で
9センチ角の3号の鉢です。ホームセンターや園芸店で10個セットで販売されている安いことがメリットです。
プラ鉢の深さは8センチ。1つの挿し穂なら十分な大きさです。
用土は赤玉土と腐葉土を使います。小粒の赤玉土を大きな袋で購入してフルイにかけて、極小粒と小粒に分けています。小粒を鉢の底に入れて極小粒を用土として使います。
腐葉土もフルイにかけて枝などを取り除き、小さなものを使います。100均のフタ付き容器が便利で使いやすいです。
プラ鉢の底は
排水性を高めるために多くのスリットがあります。
用土は
赤玉土の極小粒と
腐葉土が
7:3の割合にします。土入れで量ります。
赤玉土の極小粒を2杯。
アジサイ(紫陽花)の挿し木の植え替えの用土が準備できました。特別な用土でなく、基本の用土になります。
挿し穂を小さな素焼きの鉢から取り出します。
竹串で
鉢と用土に隙間ができるように1周挿します。
小さなスコップを使って、用土と一緒に挿し穂を取り出します。
鉢の淵まで根が伸びています。これ以上根が伸びることができないので挿し穂も成長できません。
用土の上面は硬く固まっていますので、
竹串で崩します。
水の中に入れると崩しやすく、根を傷つけることがありません。
3つの挿し穂をキレイに取り出すことができました。十分な量の根がありますので、植え替え後に枯れる心配がなく、安心できます。
挿し穂をプラ鉢に入れ、根元の高さを確認します。プラ鉢の8分目ぐらいにある段差まで用土を入れるので、右の葉が用土から出るように用土の量を調整します。
竹串を使って、挿し穂の根を広げます。均等にすることで成長がよくなります。
用土の表面は赤玉土だけにすると見栄えが良くなります。
プラ鉢の底から泥水が流れます。
赤玉土の表面についた微塵が水に流されます。
微塵は排水性が悪くなる原因になりますので、底から流れる水が透明になるまで、たっぷり水遣りをしてください。
微塵が固まってしまうと流れなくなりますので、最初の水遣りでしっかり流します。
挿し木②の3つの挿し穂を植え替えました。
挿し木①も植え替えて、6つのアジサイ(紫陽花)の苗ができました。植え替え後は直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。
用土が乾かないように1日に2回ぐらい水遣りをして、根が安定して水を吸収できるようになるまでの2週間ぐらいは注意しましょう。
植え替えをすることで大きく成長できる環境になりました。今後の成長によって花が咲くまでの期間が決まります。来シーズンに花が咲くように、栽培することが目標です。
今後の成長の記録もこの記事を更新していきます。
アジサイ(紫陽花)の挿し木の植え替え 2020年5月30日
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