取り木を使ったミニ盆栽の作り方


取り木

取り木について

植物を増やす方法のひとつで、幹や枝の一部を切り取り別の新しい固体を作る方法です。親木の性質をそのまま受け継ぐことができるメリットがあります

取り木は、親木の樹冠部などの幹が太くて小枝が充実した部分を切り取ることで、取り木後1~2年でミニ盆栽としてある程度の樹形ができ、鑑賞することができるぐらいになります。

種から発芽させる実生挿し木より栽培期間が短く、早くミニ盆栽を作りたい場合に最適です。




取り木に最適な時期

春に新芽が芽吹く前6月~梅雨時期取り木に最適な時期です。樹種によって少しの違いがあります。

春の芽吹く前に取り木をすると、暖かくなった1ヵ月後ぐらいに発根を確認することができます。

6月~梅雨時期は樹が活発に生長しているので、2週間後ぐらいで発根していることもあります。根がたくさん増えれば、2ヵ月後には親木から切り離すことができます。


取り木をする樹の状態を確認する。

剪定や葉刈りは、樹に大きな負担がかかるので控えましょう。取り木をする樹は、元気で状態がよいと発根する確率が高くなります

親木が水切れすると、取り木した部分に大きく影響します。あまり小さな鉢でなく、少し余裕のある大きさの鉢がよいです。

根を剪定して植え替えをした直後の樹は、親木の根の生長が充分でないので、取り木はしないほうがよいです。


親木の育て方

取り木をするためには、親木が必要です。 親木は、ホームセンターや園芸店で普通の苗木を購入して、鉢植えで栽培します。

鉢植えにする小さな苗木は価格が安く、チャレンジしやすいです。樹種や品種がいろいろあり、好きな樹を選ぶことができます。

盆栽は価格が高いこともありますが、鉢が小さく、取り木をしている間の管理が大変です。普通の鉢植えなら水切れすることが少なく、樹が健康な状態を維持しやすいです。

5~7号ぐらいの鉢で栽培を経験することは、小さなミニ盆栽の栽培に、とても役に立ちます。


梅もどき
ウメモドキ(梅もどき)は、樹高40センチぐらいで7号(直径21センチ)の駄温鉢で栽培しています。

樹冠部を取り木している最中です。来シーズンに、さらに取り木をすれば、親木が小さくなり、小さな鉢に植え替えるとミニ盆栽になります。


取り木の方法

取り木の方法は、いろいろありますが、よく使う方法を3つ簡単にまとめました。

針金巻き

幹を針金で巻き締めることで、葉で作られた養分をせき止め、幹が太くなり、発根させる方法です。

作業がとても簡単なことがメリットです。幹の発根させたい場所に針金を巻いて、その部分を水苔や用土で覆い、発根しやすいように湿らせるだけです。

針金が幹に食い込むように強く締め込むことがポイントです。幹に傷がついて内部の緑色が見えるぐらいまで締め込みます。

太い幹の場合は、針金を巻く溝をカッターなどで削り、針金を巻くと発根する確率が高くなります。

環状剥皮

幹や枝の樹皮をカッターやナイフで1周、剥いて、水苔や用土で覆い、湿らせて発根させる方法です。取り木の方法の中で最もよく行われています。

樹皮を剥いで、内部の木質部まで形成層をキレイに剥ぎ取ることがポイントです。形成層は甘皮のようなもので、残っていると発根しません。


幅
樹皮を剥ぎ取る幅が重要です。幹の太さの1.5~2倍くらいの長さが必要です。幅が短いと傷が繋がって発根しません。


削ぎ上げ

幹の樹皮を下から上の方向にカッターやナイフで削ぎ上げる方法です。削ぎ上げた樹皮と幹の隙間に水苔を詰め込み、周りも水苔や用土で覆い、湿らせます。

針金巻きや環状剥皮に比べて、幹の一部分だけを傷つけているので発根する確率が低いですが、幹がとても太い場合などに有効です。


取り木した部分の保護と管理

発根させるためには、適度に湿った状態を維持することが大切です。発根したあとは根が生長するために酸素が必要なので通気性、根腐れを防ぐための排水性もあると最適です。

ビニールポット

底石

用土
簡単な方法は、ビニールポットを取り付けて、底石を入れ、赤玉土や鹿沼土の細粒を用土として使います。

鉢と同じような環境なので管理が簡単です。乾かないように毎日、水遣りをするだけです。

ビニールポットを取り付けることができない場合は、水苔を使ってビニールなどで覆います。水遣りをするために上部に少し隙間を作ります。

用土や水苔が乾かないように管理することが一番大切です


親木から切り離して鉢に植え付ける

樹種によって、切り離すことができるまでの期間は違います。早い樹種は取り木をしてから2~3ヵ月後に切り離して、鉢に植え付けることができます。

切り離すかどうか?の判断は根の量です。根の量がたくさんあることが条件です。

切り離す時期は春が一番最適です。暖かくなって気温が上がり、生長する時期になるので管理が簡単です。水切れしやすい暑い夏や寒い冬は樹の負担が大きいです。

暑い夏が終わった秋も適した時期です。春に取り木をして、秋に親木から切り離すことができれば、翌春には、ミニ盆栽をつくることができます。

親木から切り離した株は、余裕を持って少し大きな駄温鉢で栽培します。


いろいろな樹種の取り木の時期や難易度

代表的樹種の取り木の方法・時期・難易度を表にまとめました。

取り木の方法・時期・難易度
樹種方法適した時期発根までの期間難易度
松柏類
黒松環状剥皮・削ぎ上げ3月下旬~4月上旬6ヶ月間
五葉松環状剥皮・削ぎ上げ3月下旬~4月上旬6ヶ月間
蝦夷松環状剥皮・削ぎ上げ3月下旬~4月上旬6ヶ月間
真柏
環状剥皮5月中旬~6月
2~3ヶ月間
根接ぎ取り3月~4月
環状剥皮5月中旬~6月2~3ヶ月間
雑木類
葉もの
ケヤキ
環状剥皮・針金巻き3月下旬~4月上旬
2~3ヶ月間
5月下旬~6月
ぶな環状剥皮・針金巻き3月~4月上旬1年間
カエデ
環状剥皮
3月下旬~4月上旬
2~3ヶ月間
5月下旬~6月
山もみじ
環状剥皮
3月下旬~4月上旬
2~3ヶ月間
5月下旬~6月
姫しゃら環状剥皮・根接ぎ取り5月下旬~6月2~3ヶ月間
いわしで環状剥皮・針金巻き3月~4月上旬1年間
縮緬かずら環状剥皮5月下旬~6月2~3ヶ月間
花もの
環状剥皮5月下旬~6月3ヶ月間
環状剥皮5月下旬~6月3ヶ月間
皐月環状剥皮5月下旬~6月1年間
椿環状剥皮5月下旬~6月3ヶ月間
くちなし環状剥皮5月下旬~6月3ヶ月間
海棠環状剥皮5月下旬~6月3ヶ月間
木瓜
環状剥皮
3月上旬~4月上旬
3ヶ月間
5月下旬~6月
百日紅環状剥皮5月下旬~6月3ヶ月間
実もの
梅もどき
環状剥皮
3月下旬~4月
3ヶ月間
5月下旬~6月
姫りんご環状剥皮5月下旬~6月3ヶ月間
きんず環状剥皮5月下旬~6月3ヶ月間

取り木をすることができる樹種は、他にもたくさんあります。時期は、地域によって少し違いがあるので、参考程度に見て下さい。

いろいろな樹種で取り木をした様子の記事です。
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取り木をしてミニ盆栽を作る。まとめ

剪定をする必要のある幹や枝を使って、新しい株を増やすことができるので、とてもチャレンジしやすい方法です。

太い幹や枝のある株は、すぐに飾ることができるミニ盆栽を作ることができます。

親木は、盆栽でなく普通の苗木の鉢植えで大丈夫なので、安くミニ盆栽を手に入れることができます。

取り木でミニ盆栽を作って、いろいろな場所に飾って楽しみましょう。


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