なぜ?植え替えのときに根を剪定する必要があるのだろうか。
樹木の植え替える方法では、「古い根や長い根、不要な根を切って、整理してから植え替えましょう。」と説明されていることが、ほとんどです。根を切って枯れたりしないのだろうか?どのくらい切ればよいか、わからないことがあります。具体的な説明がなく、切ることができなかったり、切りすぎてしまいます。
根を剪定する理由を理解して、切るポイントがわかれば、迷うことなく根を切ることができるようになります。
樹木の種類によっては、あまり切らないほうがよいものがあります。例えば、桜などは剪定に弱くて、枯れることもあります。「根についた土を軽く落として、植え替える。」などと説明している樹木です。
根が剪定できる樹木について説明します。鉢植えのもみじを使って、根を剪定する理由と切るポイントを説明していきます。
樹木の根を剪定する理由
7号(直径21センチ)の鉢植えのもみじです。樹高は40センチぐらいです。あまり大きな鉢植えではありませんが、枝や葉が多くあります。記事の最初の根の写真は、この鉢植えのもみじの根です。根が四方八方に伸びて、バランスがよいと、樹形がよくなります。幹から真下に伸びる直根(ちょっこん)が太くて長いと、幹が上に向かって高く伸びていきます。他の根に比べて長く伸びた根は走り根(はしりね)です。樹形の乱す太くて、長く伸びようとする強い枝ができるようになります。
根の状態は、地上の樹形と深い関係にあります。樹形を美しくしようと、枝の剪定を何回しても、根の状態が悪いと美しい樹形になりません。根は土の中にあり、植え替えのときにしか見ることができません。植え替えるときは根の状態を確認して剪定をしましょう。
鉢植えの樹木は根詰まりさせないために植え替えをします。
鉢の限られた用土の中で、根が成長して、多くなって過密になった状態が根詰まりです。根詰まりすると水が浸透しなくなります。水遣りのときに鉢の土の上に水が溜まるようになります。根が成長できるスペースがなくなり、樹木が元気がなくなります。直根や走り根が原因になりますが、太い根から伸びる細い根も根詰まりの原因になります。細い根は水分と養分を吸収する重要な役割があります。細い根は数ヶ月で寿命がきて、新しい細い根が成長します。枯れた細い根が根詰まりの原因になります。枯れた細い根は、土と一緒に取り除くことができるので、植え替えをするとなくなります。
根を切るポイント どのような根を剪定するべきか。
直根を剪定して、根を増やしていく
赤い丸の根が直根(ちょっこん)です。植え替えを一度していると、まっすぐになることはないです。このもみじは植え替えをしているので、途中で曲がっています。直根が成長できなくなり、他の根が3つの方向に伸びています。このように根が増えると、枝も増えて樹形もよくなります。盆栽鉢のような浅い鉢なら直根を、根元からきれいに切ってしまいます。普通の鉢なら曲がった部分で切るとよいです。伸びると他の根の成長の妨げになります。盆栽のように針金で根を固定しない場合は、少し残したほうが樹木が安定しやすいです。
青い丸の根は、生えた場所が残念な根です。盆栽の根張りを作る場合は根元から切ってしまいます。根張りとは、樹木の根元に根の張る様子が見えることで、観賞において重要な要素です。根が広がっている様子が見えることで大木の雰囲気が出ます。他の3つの方向に伸びている根は、鉢の大きさに合わせて短く切ります。
走り根を切る
走り根は、長く伸びているので見つけやすいです。赤い線の根が、走り根です。鉢に沿って巻いている根は切ります。どのくらい短く切るべきは、樹木を真上から見て、根が四方八方に放射状に伸びているようになるまで、切ります。幹の根元から伸びた太い根は、伸びて鉢にまで到達すると、下に伸びたり、鉢に沿って巻くように伸びます。太い根を鉢の大きさにあわせて切ることで、伸びることができなくなります。伸びることができないので、細い根が枝分かれして、たくさん伸びてきます。
鉢全体に均一に細い根が張るようになると、根詰まりすることなく、限られた土が有効に活用できて、樹木の成長がよくなります。太い根が絡み合っていたりすると、細い根が成長できなくなり、水分や養分の吸収ができなくなります。
古い根や長い根も整理しましょう。
赤い円で囲んだ根は、色が違うことがわかります。枯れた根や腐食した根です。このような根を切ることが一番わかりやすいです。長く伸びてもいるので、最初に切ってしまいます。根の剪定 根を切るポイント
- 直根(ちょっこん)は、短く切る。
- 走り根(はしりね)は、鉢の大きさに合わせて切る。
- 細い根は、古い根と長い根を切り、過密にならないようにする。
根を切るための道具について
根の剪定に一番に必要な道具は、はさみです。根を切ることができれば、どのようなはさみでもよさそうですが、注意しなければならないことがひとつだけあります。切り口をキレイすることです。剪定は、樹木を傷つけることになります。樹木の生命力によって時間をかけて治していきます。手に切り傷ができたときに、傷の深さが同じなら、包丁とのこぎりでは、傷の治りが違うことは想像がつきます。樹木も同じです。のこぎりで切った切り口は、治るためにはたくさんの時間がかかります。時間がかかると雑菌によって腐食する可能性が高くなるのです。
はさみは2つ用意しましょう。
剪定ばさみは、普通のはさみと同じ形状のものと刃が曲線になっているものがあります。切る太さによって使い分けます。細い枝や根は、普通のはさみの形状のもので切ることができます。太くなると、切るというより切断するようになってしまい、断面がつぶれて切れます。刃が曲線になっている剪定ばさみは、太い枝や根をキレイに切りことができます。剪定ばさみでも切ることができないような太い根は、のこぎりで切るしかありません。のこぎりで切った後に、小刀かカッターで切り口をキレイに整えます。
根の剪定、植え替えで根を切る・整理する方法のまとめ
よく切れる剪定ばさみで、直根(ちょっこん)は短く、走り根(はしりね)は鉢の大きさに合わせて、切り口をキレイに切って、細い根を整理する。根を3種類に分類して、剪定することで、わかりやすくなります。植え替えで根の剪定をして、元気で美しい樹形の樹木を育てましょう。
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