もみじの育て方 春が来る前にするべきこと
もみじのような落葉樹は、春が近づいてくると成長が楽しみになります。春が来る前に、手入れをすると、芽吹いて新しい葉がついたときに、美しい樹形になります。落葉していると樹形が見やすく、これからどのような樹形に育てるかイメージしやすいです。2年間、山採りした苗を育てて樹高40センチの鉢植えにしているもみじで手入れの様子を詳しく説明していきます。
もみじは夏の水遣りが大変なので、鉢植えのほうが管理が簡単です。昼間に家にいない場合は、鉢植えにしましょう。鉢植えでも樹形を仕立て、美しいもみじにすると紅葉を楽しむことができます。盆栽鉢に植え替えると、立派な盆栽になります。
もみじを剪定する時期
もみじを剪定する時期は、紅葉の終わった直後の落葉時期にします。落葉していたほうが枝だけになって樹形が見やすく、休眠時期で切り口から樹液が出て止まらないことが少ないからです。剪定してよいか迷ったときは、細い不要な枝を切って樹液が出ないか出てもしばらくしたら止まるようでしたら大丈夫です。落葉してしばらくすると剪定時期を逃してしまいます。厳寒期になると、太い枝を剪定すると樹液が止まりません。枝枯れしてしまいます。
落葉時期は判断が難しいので、2月下旬~3月の芽吹く前がお勧めです。芽吹く前のほうが新芽の状態も観察できて、わかりやすいです。新芽が少し膨らんで、よく見えるようになった時期に剪定しましょう。
もみじの芽かき 一番簡単な手入れ
樹木は根から水分と養分を吸収して成長します。吸収できる水分と養分には限りがあります。たくさんの新芽を成長させることは大変です。成長すると樹形を乱すような不要な葉の新芽を芽吹く前に取り除くことを芽かきといいます。
枝のない幹の節にある新芽は、大切にしましょう。間延びした幹に新しい枝ができる可能性があります。芽かきは一番簡単な手入れなので、新芽を見ながら落ち着いて、目標とする樹形を考えることができます。
もみじの剪定の基本 樹木の場所で違う剪定
枝を切る剪定は、初めてするときは緊張して、どこを切るべきか迷ってしまうことがあったり、切りすぎてしまうこともあります。慣れると切るべきところがすぐにわかるようになります。枝を剪定するときに、基本のルールを決めると迷いがなくなります。樹木の場所によってルールを決めます。樹木の半分より上の先端付近を上部、半分より下を下部として、剪定のルールを決めると上手くできます。
もみじの剪定 上部の枝
もみじの剪定は、新しい枝分かれを作るためにします。写真の枝は、節と節の間隔が広く間延びした枝です。青い部分の枝を切ってしまいます。
枝を新芽の上で切って剪定します。若い木で、これから樹形を作っていく場合は、基本は一節で剪定して枝分かれを作るように剪定します。
新芽が成長して、青い線のような枝ができ、枝分かれが二又(Yの字)になることが理想です。この枝の二又(Yの字)を続けていき、枝を増やしていきます。赤い丸の枝を剪定すると二又(Yの字)になります。枝の根元からきれいに切るようにします。枝が残ると、そこから新芽が出ます。
もみじの上部付近は、枝を多くして葉を増やすようにします。枝分かれが二又(Yの字)にすることに集中して剪定しましょう。
もみじの樹形 下部の枝分かれ
もみじの下部の枝分かれは2~3節で作ります。節と節の間隔が一定の長さではありませんが、この鉢植えは3節あります。枝はありますが、片方だけが成長してしまい失敗です。枝分かれを二又(Yの字)にして、同じ太さの枝ができると成功です。下部の枝分かれは、最初からよく考えて剪定し、枝が上手く同じように成長してくれないと成功しません。
写真のもみじは、下から3節、2節、1節で枝分かれの二又(Yの字)を作ろうとしましたが、節が間延びしたり、左の枝がよくありません。
最初の枝分かれ前の間延びした節のところで剪定して、一から作り直してみます。もみじの苗がたくさんあると、このようなチャレンジすることができます。
目標とする樹形を節で考えると、剪定するときに便利です。もみじの一般的な樹形です。3節目で大きく2つに枝分かれして、2節後に二又(Yの字)に枝分かれして、その後は1節で枝分かれを作ります。樹形の設計図のようなものです。線を引くだけなので、もみじに合わせて書くと、剪定するときに便利です。
盆栽、鉢植えで、もみじを楽しむことができる樹形です。実際は節の間隔が均等にはならないので、調整が必要ですが、イメージできてないと剪定がうまくできません。
もみじに針金を掛けて樹形を作る
枝が増えてくると、向きのよくない枝があります。ビニールの紐などで引っ張って、向きを変えることもできますが、針金を使うと簡単に希望する向きの枝にできます。針金を掛けることは、盆栽で使われる技法で難しいように感じますが、やってみると意外に簡単にできます。針金を掛けている状態は、樹形を作る途中で人に見せるものではありません。きれいに針金を掛けているほうが美しいですが、樹形が作ることが目的です。
針金を掛けるために必要なもの
初めて針金を掛ける場合に、最低限必要なものです。すべて百円均一で販売されています。針金はアルミのワイヤーが曲げやすくて使いやすいです。直径が1ミリと2ミリのものがあれば細い枝から太い枝まで曲げることができます。ラジオペンチは先端が細くなっていて、根元では切断することもできます。本格的に針金を掛けたい場合は、盆栽の道具が便利です。300円(税別)で針金掛けを体験してみてください。盆栽ではなく鉢植えでも、枝の向きや曲がりが変わるだけで、樹形がよくなり、美しい樹木になります。
針金掛けの基本
もみじの細い枝が広がりすぎています。この枝に針金を掛けて、枝の向きを調整していきます。盆栽では樹形を仕立てることを整枝(せいし)といいます。最初は、短い枝で針金を掛けてみることをお勧めします。青い線の枝を、赤い線の向きにしたい場合で針金掛けをしていきます。細い枝なのでアルミの1ミリで曲げることができます。用意した針金を切ることから始めます。針金を掛ける部分は、青い線と紫の線の枝です。紫の線の枝に固定しないと、上手く曲げることができません。青と紫の枝の長さを足した2倍の長さに針金を切ります。
針金の長さは、巻く間隔(荒く巻く、密に巻く)によって異なりますが、あまり長いと巻くときに邪魔になります。2倍ぐらいの長さで試して、短いようなら長くして下さい。
針金は、紫の線の枝から掛けていきます。2~3回巻いて、曲げたい青い線の枝に針金を掛けます。きつく掛けると、針金を外すときに大変なので、ゆるく掛けています。細い枝はゆるく掛けても十分に曲げることができます。
針金掛けの簡単なものを紹介しました。盆栽では、たくさんの針金の掛け方があります。実際に針金を掛けたことがあると、盆栽の技法のすばらしさが理解できます。
もみじの育て方 春が来る前にすべきこと まとめ
- 2月下旬~3月ぐらいの芽吹く前に芽かきと剪定をすること
- 針金掛けにチャレンジして、美しい樹形を目指しましょう。
|
|